くも膜下出血の後遺症で現れる2種類の認知症を解説します!

先進国の中でも認知症の割合が最も多い日本。

その有病者数は、平成37年には700万人にもなり、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。

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高齢者に多い認知症ですが、実はくも膜下出血の後遺症で認知症になってしまう事をご存知ですか?

今回は、くも膜下出血の後遺症で現れる2つの認知症について解説していきます!

くも膜下出血と認知症

くも膜下出血は、脳梗塞、脳出血を含めた脳卒中の一種です。

脳の表面は、外から硬膜・くも膜・軟膜の3つの膜で包まれています。

くも膜と軟膜の間には脳脊髄液という液体で満たされ、その中には脳に栄養や酸素を送るための血管が走っています。

くも膜下出血は、何かしらの原因によって脳血管が破れ、脳脊髄液の中に血液が漏れ出した状態のことです。

この漏れ出した血液の場所や程度によって、片麻痺や感覚障害、視覚障害、意識障害などの後遺症が現れます。

後遺症で認知症が現れる確率は9倍!?

「秋田県脳卒中発症登録申請書2009年追跡調査」によると

脳卒中を発症した人に認知症が後遺症として現れる確率は、脳卒中を発症した事がない人(3%)の約9倍(27%)とされています。

また、脳卒中別の確率では

  • 脳出血で、約41%
  • くも膜下出血で、約22%
  • 脳梗塞で、約36%

くも膜下出血は発症年齢が比較的若い(50〜60歳代)こともあり、認知症が後遺症で現れる確率は他の脳卒中と比較すると低くなっています。

くも膜下出血と2つの認知症

くも膜下出血を発症すると、脳組織を直接侵すか、間接的に侵すかによって異なる2種類の認知症が後遺症として現れる可能性があります。

脳を傷つける「脳血管性認知症」

認知機能は

  1. 視覚や体性感覚、聴覚などの情報を脳で統合(まとめる)
  2. 今必要な情報を選択し、一時的に保持
  3. 得た情報を基に適応的な行動を行う

という精神、思考活動のことです。

なんだか少し複雑ですが、要するに色々な情報を脳の様々な部位で処理する事で、その場にあった行動が行える。

って事ですかね。

この認知機能のおかげで、変化する環境にも柔軟に対応できて効率良く動作を行う事ができるんです!

しかし、くも膜下出血によって脳細胞が壊されると、認知機能が正常に働かなくなり、日常生活に支障を来します。

これが脳血管性認知症です。

脳血管性認知症は、三大認知症の1つで、アルツハイマー型認知症に次いで多く、認知症全体の20%を占めています。

主にくも膜下出血を発症した直後に症状が強く見られ、改善と悪化を繰り返しながら段階的に進行していきます。

特に、くも膜下出血など原因となる病気の再発で悪化して、後遺症が強く現れるようになります。

脳血管性の認知症が後遺症で現れた場合、以下の症状が現れます。

まだら認知症

脳血管性の認知症は、日によってできる時とできない時があったり、物忘れが激しくても判断力が残っていたりする場合があります。

また、ボーッとして何も出来ないと思ったら、次の日には意識がはっきりして昨日出来なかった事ができることもあります。

このように、認知症の症状に規則性がなく、バラつきがある事から、まだら認知症と呼ばれています。

これは、出血や梗塞の場所や程度によって、死滅する細胞と残存する細胞がある為です。

その為、現れる症状にバラつきが出てくるわけです。

また、できる時もあるという事から、周囲の人には認知症だと気付いてもらえない場合もあります。

その他の後遺症

認知症の他に、急に怒り出したり、泣き出したりと感情のコントロールがうまく出来なくなる感情失禁意欲の低下などが現れる事もあります。

また、脳卒中の後遺症に代表的な片麻痺や感覚障害、言語障害などを伴う場合もあります。

脳を圧迫する正常圧水頭症

脳の周りを満たしている脳脊髄液は、産生と吸収を繰り返して一定の量(約130ml)に保たれています。

しかし、くも膜下出血によって血液が混ざった髄液は、吸収されなくなり、脳の中心にある脳室と呼ばれる場所に溜まります。

脳室側面と脳室拡大図
「看護roo!ナースなみんなのコミュニティ」より引用

これによって大きくなった脳室が周りの脳組織を圧迫して様々な症状を引き起こす状態が、正常圧水頭症です。

正常圧水頭症には、3つの主症状があります。

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ガニ股歩きなどの歩行障害

正常圧水頭症では、足を開き、歩幅は狭くなり、すり足になるなどの歩行障害が現れます。

この為、直線的な動きに固定され、捻る動きが極端に苦手になります。

すなわち、方向転換時に特に不安定になり、転倒リスクが増します。

もの忘れや活動意欲の低下などの認知症症状

正常圧水頭症では、もの忘れもありますが、活動意欲の減退によりボーッと上の空になる事が多くなり、表情の変化にも乏しくなります。

病前との違いに戸惑う方も多いかもしれません。

また、注意力や集中力が低下して1つの事を遂行するのが難しくなります。

排尿障害

排尿障害は、正常圧水頭症の人の約60%に現れます。

膀胱に尿を貯めておく事や尿意が起きてから我慢できる時間が短い為、失禁してしまう状態です。

これらの症状は、必ず現れるわけではなく、排尿障害だけが現れる事もあれば、歩行障害だけが現れる事もあります。その為、正常圧水頭症と気づかないことも多いようです。

正常圧水頭症は治る!?

正常圧水頭症は、シャント術と呼ばれるシリコンの管を使用して頭に溜まった髄液を身体の他の部位に流れるようにする手術を行う事で改善する可能性があります。

しかし、症状の軽い初期のうちでないと改善が見込めない場合もある為、くも膜下出血後、異変に気づいたら早めに受診することが大切です。

脳血管性認知症と正常圧水頭症の違い

最後にそれぞれの特徴をみてみましょう。

脳血管性認知症

  • 出血により、脳神経が損傷を受けて発症
  • まだら認知症が特徴
  • 神経細胞が壊れている為、回復は困難

正常圧水頭症

  • 脳室の拡大で脳組織が圧迫を受ける事で発症
  • 主要症状は、認知症、歩行障害、排尿障害
  • 認知症の症状は、意欲の減退や集中力の低下
  • 手術で改善する可能性がある

などの違いがあります。

2つの認知症の共通点

しかし、これら2つの認知症に共通点もあります!

それは、どちらもくも膜下出血により引き起こされるという事です。

くも膜下出血を引き起こす要因として大きいのが、高血圧喫煙、過度の飲酒です。

  • 高血圧(140/90mmHg以上)は、約2,8倍
  • 喫煙習慣は、約1,9倍
  • 過度な飲酒(1週間に150g以上)は、約4,7倍

これほどに、くも膜下出血の発症リスクが高まってしまうんです!

ですが、逆に考えれば、どちらの認知症も生活習慣の改善で容易に発症リスクを減らす事ができるわけです!

日々の生活習慣を意識して、くも膜下出血を防ぎましょう!

まとめ

くも膜下出血で起きる認知症には、2つの種類があります。

脳組織を直接侵してしまう脳血管性認知症と溜まった髄液で脳を圧迫する正常圧水頭症です。

それぞれ特徴的な後遺症が現れますが、認知症の症状としては

  • 脳血管性認知症は「まだら認知症」
  • 正常圧水頭症は「活動意欲の減退や集中力の低下」

です。

そして、両方の認知症に共通するのが、くも膜下出血で引き起こされるという事です。

高血圧や喫煙、過度な飲酒が発症リスクを高めるくも膜下出血。

認知症にかぎらず、重い後遺症を防ぐには日々の積み重ねが大切です。

こちらの記事もご覧ください。

めまいはくも膜下出血の後遺症でも起きる?

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