脳幹出血でも意識あり!?その理由を解説します!

脳幹には、意識を保つのに重要な役割を担っている網様体と呼ばれる部分があります。

この網様体は、脳幹を広範囲に占めています。その為、脳幹出血により脳幹を損傷すると、高確率で意識障害を伴いますが、意識ありとなる事もあります!

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そこで今回は、脳幹出血後の意識について解説していきます!

脳幹出血と意識【意識の発現は網様体】

私達が意識を保つには、脳幹にある網様体という部分が重要な役割を担っています。

網様体は、網の目のような構造をしている事からそう呼ばれています。

その働きは、身体各所からの様々な感覚情報(触覚や温痛覚、運動覚など)を視床(感覚の中継地点)を介して大脳に伝える事で意識ありの状態を保ちます。

また、意識あり(覚醒)を保つ事で、集中力や判断力の向上、感情のコントロールなどの機能が効率よく働きます。

眠い時や疲れている時など、頭がぼーっとしている時に能率は上がりませんよね?意識を高い水準で保つ為には、網様体の働きが重要のなるわけです。

この網様体の働きは、感覚情報が各感覚器官(関節や筋肉、皮膚など)から上行していき、大脳を刺激して意識をコントロールしており、上行性網様体賦活系と呼ばれています。

意識をコントロールする神経伝達物質

そして、意識ありの状態(覚醒)を保つ為に働いている網様体は、神経伝達物質によってコントロールされています!

神経伝達物質とは、神経から神経に情報を伝える物質の事で、その種類によって伝える情報が異なります。

意識をコントロールするのに働く神経伝達物質には、モノアミン(ノルアドレナリン、セロトニンなど)アセチルコリンが代表的です。

モノアミンは、覚醒状態(意識あり)を保つ事や覚醒の開始に関与しています。

アセチルコリンは、意識(覚醒)レベルの向上に関与し、新たな感覚情報に反応して瞬間的に脳を興奮状態にします。

同じ事を繰り返していると飽きてしまいますが、新しい経験をすると一時的にでも興味が湧きますよね?

網様体は上記のような働きにより、意識を保つ事ができているんです!

そして、網様体は中脳・橋(きょう)・延髄を縦に走行しており、脳幹全体にある為、脳幹出血を起こすと高確率で意識障害を伴います。

脳幹出血と意識【 意識ありは運次第!?】

ですが、脳幹出血を発症しても意識ありの状態を保てる場合もあります。

先述したように、脳幹出血を起こすと意識障害を伴う事が多いですが、出血する場所によっては意識障害を免れる事もあります。

私が在宅リハビリで担当していた利用者さんの中にも、脳幹出血を発症した直後に意識があったという方もいます。

そもそも、意識ありという事は、単純に考えて脳幹網様体に障害が及んでいないという事が考えられます。

網様体は、脳幹の背側部にある為、出血場所が腹側部であったり、出血そのものが少ない場合は、脳幹出血を発症しても意識ありとなる事もあります。

しかし、脳幹の腹側部には錐体路といって運動神経の通り道がある為、(出血の度合いにもよりますが)運動麻痺が後遺症として残る事があります。

症状の重さやどのような症状が出現するのかは、運でしかありません。

また、脳幹は様々な神経線維が非常に狭い範囲に凝縮されている為、出血が広範囲に及びやすく、重篤になりやすい脳卒中であると言えます。

ですが、脳幹出血発症後に意識障害を伴ったとしても、その後再び意識ありとなる事もあります。

出血を起こすと、脳内の圧力が高くなって周辺の脳組織を圧迫し、様々な後遺症が出現します。ですが、出血が引いて脳幹への圧力が軽減されれば、意識が回復する可能性があるからです!

脳幹出血と意識【意識のある脳幹出血、閉じ込め症候群】

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脳幹に梗塞や出血を起こすと、閉じ込め症候群課(ロックドインシンドローム)という状態になる事があります。

閉じ込め症候群とは、四肢麻痺や嚥下障害・言語障害を伴う球麻痺(損傷部位である延髄が球のように丸い事からこう呼ばれており、延髄麻痺とも呼ばれています)によって、身体を動かす事も意思を伝える事もできなくなってしまった状態を表します。

つまり、寝たきりの状態なのですが、目は動かすことが可能で、更に意識が保たれているのがこの閉じ込め症候群の最大の特徴です。

情報の入力が可能でも表出が不可能ということになります。

以前、「世にも奇妙な物語」のあるエピソードで、閉じ込め症候群に似た話がありました。

あらすじとしては、ある女性が、ある日突然頭を殴られて頭痛に襲われて意識を失い、気づいた時には箱の中に閉じ込められてしまいます。

箱の中からは、風景や人の姿が見えて声も聞こえる為、自分の存在を気づいてもらおうと必死で呼びかけるも、声は届かず、閉じ込められ続けてしまうという話でした。

実に分かりやすく主観的な視点で閉じ込め症候群の様子を表していた為、この病気の恐ろしさが理解できました。

閉じ込め症候群のメカニズム

では、何故この様な状態になってしまうのでしょうか?

閉じ込め症候群は、脳幹の中でも中脳と延髄の間にある橋(きょう)の腹側部に出血や梗塞などが起こって出現します。

脳幹の腹側部には、手足だけでなく、嚥下や言語に関連した運動の指令が大脳から脳幹を下行して筋肉に伝えられます。

対して、脳幹の背側部には網様体があり、ここを感覚情報が上行して大脳に通過しています。

従って、脳幹の腹側部に出血などの異常が生じる閉じ込め症候群は、四肢麻痺や言語・嚥下障害を伴いますが、背側部を通過している感覚や網様体は正常(意識あり)という事になります。

また、目に関連する神経は中脳に存在する為、こちらも障害を免れる形になります。

意識があるというのは、行動を起こす上での土台に当たる機能ですが、身動きがとれない状態で意識ありというのは、とても辛い状態です。

まとめ

意識をコントロールしている網様体は、脳幹全体に存在している為、脳幹出血を発症すると障害を受けやすい部分です。

ですが、出血の部位や程度によっては、意識ありの状態を保てる事もあります。

しかし、網様体の損傷を免れて意識ありとなっても、閉じ込め症候群のようにその分他の部位が侵されてしまう事があります。

高血圧が主たる原因となる脳幹出血は、どのような症状が表れ、また症状の程度がどのくらいになるのかは発症してみないと分かりません。

ただ、1つ言えるのは脳幹出血は重篤な後遺症が残る事が多い為、やはり予防に講じる事が大切です!

こちらの記事もご覧ください。

脳幹出血で意識不明になった場合の回復例は?

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