脳幹出血を発症しても自発呼吸ができるまで回復はする?

脳幹は呼吸の中枢でもある為、脳幹出血により損傷を受けると自発呼吸が困難となり、人工呼吸器の使用を余儀なくされ、最悪の場合命にも関わります。

では、脳幹出血を発症して自発呼吸が困難となった場合、回復は見込めないのでしょうか?

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今回は、脳幹出血を発症した場合の自発呼吸と回復について解説していきます!

脳幹出血と自発呼吸【その1 自発呼吸とは】

自発呼吸とは、自分の力で行う呼吸の事を言います。それに対して、外部からの力を借りて行う呼吸が人工呼吸になります。

呼吸の方法は、酸素を吸う吸気二酸化炭素を吐く呼気に分けられます。そして、酸素と二酸化炭素を体内で入れ替えるのがガス交換です。

このガス交換は、体内のどの部分で行うのかで2種類に分かれます。

一つ目は外呼吸で、肺と血管間のガス交換です。口から取り込んだ新鮮な酸素は、肺から血管に送られ、血管からは不要になった二酸化炭素が運ばれてガス交換が行われます。

二つ目は内呼吸で、血管と細胞間のガス交換です。新鮮な酸素を取り込んだ血管は、細胞に酸素を送り、細胞からは不要になった二酸化炭素が送られます。

この機構によって、身体は酸素を取り込んで活動する事ができ、不要になった酸素(二酸化炭素)を排出する事ができます。

ですから、緊張状態で自発呼吸が浅くなったり、満員電車の中で大気中の酸素量が少なくなると、体内は酸素不足(酸欠)になり、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が現れます。

脳幹出血と自発呼吸【その2 呼吸中枢】

脳幹出血を起こすと、自発呼吸が困難になりますが、それは脳幹が呼吸中枢であるからに他なりません。

脳幹は、上から間脳・中脳・橋・延髄に分けられますが、このうち呼吸運動を司っているのは橋(きょう)と延髄です。

延髄は、呼吸運動そのものを司っている呼吸中枢になります。この場所は、絶えず横隔膜や肋間筋などの呼吸筋を働かせて呼気と吸気の基本的なリズムを生み出しています。

橋(きょう)は、呼吸調節中枢と呼ばれており、呼吸のリズムを調節しています。

私達が呼吸をする時は、常に一定という訳ではなく、状態や場面に応じてリズムを変えていますよね。

例えば、運動している時には酸素の消費量が増える為、いつもの呼吸リズムでは当然体内の酸素は不足してしまいます。

それを防ぐ為、橋(きょう)は呼吸を速くするよう延髄の呼吸中枢に働きかけて酸素が不足しないようにしています。

この時、体内の酸素・二酸化炭素の量を検知して呼吸中枢に知らせる役割をしているのが、化学受容体という器官です。

化学受容体には2種類あり、二酸化炭素量を検知する中枢性化学受容体と酸素量を検知する末梢性化学受容体です。

中枢性化学受容体は延髄にあり、末梢性化学受容体は、首と心臓にある動脈に存在します。

基本的には、中枢性化学受容体が中心に働いている為、二酸化炭素の量に応じて呼吸のリズムを調整している事になります。

しかし、身体に危険が迫るほどの酸素不足に陥ると、末梢性化学受容体が働いて危機を脱しようとします。

以上は全て無意識で行われていますが、意識的にも呼吸をする事ができますね!

例えば、大事な試合や講演の前には深呼吸を行い、ろうそくの火を消す時や風船を膨らませる時には大きく息を吐きます。また、水中に潜った時や臭いものの臭いを嗅ぎたくない時は息を止めますよね?

これら意識的に行う呼吸は、大脳が司っています。

呼吸は、本部(呼吸中枢)から現場スタッフ(呼吸筋)に指示を出して行われています。

また、顧客(化学受容体)の声を参考に仕事内容の微調整(呼吸リズム)を行い、状況に応じて社長(大脳)からの指令を受けるなど中間管理職的な位置付けになるかと思います。

このように、脳幹は自発呼吸を行う上で必要不可欠な器官になります。ですから、脳幹出血を発症すると自律的な呼吸運動ができなくなり、命の危機にも関わるという訳です。

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脳幹出血と自発呼吸【その3 回復】

では、今回のテーマの本題である脳幹出血を起こし、自発呼吸が困難となった場合、回復はするのか?という点についてですが、一概に回復するとも回復しないとも言えません。

というのも脳幹出血を起こした場所や血腫の大きさなどによっても症状の現れ方が様々で、回復の度合いも一様ではありません。

私が仕事でみてきた脳幹疾患の方達の中でも自発呼吸ができない人もいれば、発症後に回復して自発呼吸ができるようになった人もいます。

ただ一つ言えるのは、一度死んでしまった神経細胞は回復しません。ですから、仮に脳幹出血で呼吸中枢に関わる神経細胞が損傷を受けた場合、自発呼吸までの回復は難しいと言えます。

ですが、間接的に呼吸中枢の働きを侵してしまっている場合は、回復する可能性があります。

その理由は、脳幹出血(ここでは脳幹出血に限定して解説します)を発症すると、脳内に血液が流れ出て脳を圧迫する為です。

これは脳浮腫と呼ばれ、仮に呼吸中枢が圧迫を受ければ自発呼吸が困難になるかもしれません。

しかし、直接呼吸中枢が侵されている訳ではない為、出血が引いて脳浮腫が改善されれば、呼吸中枢への圧迫も減り自発呼吸ができるまでに回復する可能性があります。

ですから、直接的に呼吸中枢に障害を受けなければ、一時的な障害はあれど、自発呼吸ができるまでに回復する可能性は十分にあります!

まとめ

呼吸とは、呼気と吸気による酸素と二酸化炭素の交換(ガス交換)の為に行われ、肺と血管でのガス交換を外呼吸、血管と細胞でのガス交換を内呼吸と呼びます。

呼吸中枢は延髄にあり、これを調節しているのが橋(きょう)にある呼吸調節中枢です。

また、体内の酸素量の情報は首・心臓部と延髄にある化学受容体で検知されて呼吸中枢に送られて呼吸調節のきっかけを作ります。

脳幹出血を発症すると、これらの機能が低下します。

脳幹出血による自発呼吸は、脳幹そのものに出血が生じた場合は回復は難しいも脳浮腫によって間接的に受けた障害であれば、回復する可能性はあります。

ですが、一度死んでしまった神経は回復しない為、やはり未然に防ぐ事が重要です。

こちらの記事もご覧ください。

脳幹出血の予後予測について解説!!

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