高齢者に多い急性心筋梗塞。
しかし、比較的若く、そして健康的で的であるはずのスポーツ選手でも急性心筋梗塞を発症し、亡くなってしまう人がいるのが現状です。
そこには一体どんな原因が潜んでいるのでしょうか?
そこで今回は、スポーツ選手を襲う急性心筋梗塞の原因について解説します!
目次
急性心筋梗塞とは?
ポンプ作用で全身に血液を送り出して生命維持の役割を担っている心臓ですが、心臓が働く為にも栄養や酸素は必要です!
その栄養や酸素を供給するのが、冠動脈と呼ばれる心臓専属の血管です。
この冠動脈が完全に塞がってしまうのが「心筋梗塞」で、心筋梗塞の前段階として冠動脈が狭くなるのが「狭心症」です。
急性心筋梗塞は、心筋梗塞を発症してから3日もしくは2週間以内の事をいいます。
急性心筋梗塞の症状は、胸の激痛、締め付け感、圧迫感などがあり、これらが30分以上続きます。
重症の場合はショックを起こし、最悪の場合は死に至る恐ろしい病気。
急性心筋梗塞を発症して病院に搬送する途中で約14%の人が亡くなっているそうです。
命の中枢ですからね。病気になるとそれ相応のリスクが伴うということです。
急性心筋梗塞の原因は動脈硬化
冠動脈に異常を来す主たる原因となっているのが、動脈硬化です!
動脈硬化とは、血管の弾力が失われて硬くなったり、血管の中に悪玉コレステロールが溜まってゴミ山のようなコブを作る事で血管内が狭くなる状態のことです。
動脈硬化を引き起こす原因としては、肥満、運動不足、喫煙、精神的ストレスなどの生活習慣の乱れが大きな影響となっています。
また、生活習慣病と呼ばれる糖尿病や高血圧も動脈硬化のリスクを高めます!
心筋梗塞が高齢者に多い理由
一般的に心筋梗塞は高齢者の発症が多い病気です。
その原因は、加齢とともに血管が衰えて動脈硬化のリスクを高めるとともに、先述した乱れた生活習慣の長年の蓄積が影響しています!
加齢とともに血圧の薬を飲む人が多くなるのもそういった理由があるからなんですね。
スポーツ選手の急性心筋梗塞の原因
結論から言うと
スポーツ選手が急性心筋梗塞を起こす特有の原因はありません!
では、人一倍健康を気遣い、丈夫な身体であるはずのスポーツ選手が、何故急性心筋梗塞を起こしてしまうのでしょうか?
前例としてまだ記憶に新しいのが、サッカー元日本代表でもあった松田選手の訃報です。
松田選手は練習中に倒れて救急搬送され、帰らぬ人となりました。
病名は、急性心筋梗塞だったそうです。
松田選手が急性心筋梗塞を発症した原因は明確になっていませんが、スポーツ選手が急性心筋梗塞を発症する原因には、ある3つの要素が考えられます。
【原因1】隠れた動脈硬化
動脈硬化は、生活習慣や加齢が原因で引き起こされると解説しましたが、実は子供の頃に発症したある病気の後遺症として起こる場合もあるんです。
その病気とは「川崎病」
川崎病とは、幼少期に発症する全身の血管に炎症を起こす病気です。
この病気を患うと、後遺症として冠動脈内にコブができたり、血管を硬くしてしまいます。
これにより心臓は慢性的な血液不足に陥ります。
スポーツを行うと、血圧上昇や心拍数の増加、そして心臓は多くの酸素を必要とします。
川崎病の後遺症によって気づかないうちに動脈硬化を伴っていると、スポーツを行う事で心臓への血液の流れは更に悪くなり、結果的に急性心筋梗塞を起こしてしまうんです。
また、血管内にできたコブを破裂させて血の塊を作り、冠動脈を塞ぐことでも急性心筋梗塞は起こり得ます。
【原因2】冠動脈が痙攣する
冠動脈に異常な痙攣が起きる事が原因で血液の流れを遮断してしまい、急性心筋梗塞を起こす場合もあります。
原因ははっきり分かってはいませんが、喫煙やストレス、不眠や過労などが関与していると言われています。
冠動脈の痙攣は、朝方や早朝、夜間の安静時に見られやすく、更にスポーツが引き金となって現れることもあります。
【原因3】先天的な問題
中には、生まれつき冠動脈に異常がある人もいます。
これらの原因では、自覚症状が現れている事もあるかもしれないので、注意が必要です。
特に、スポーツ選手のような健康で元気な人ほど、前兆を自覚しずらい傾向にある為、日常で突然意識を失ったことがある、運動中に胸が苦しくなったことがある人は、一度病院で検査を受けた方が良いですね!
スポーツ選手が急性心筋梗塞を起こす確率
とはいえ、急性心筋梗塞に限らず、スポーツ選手が運動中に突然死する確率は、とても稀です。
「スポーツにおける突然死とその予防」の論文では、スポーツ選手が運動中に突然死する割合は
10万人中1〜2人とされています。
しかし!
若年者〜高齢者のスポーツ関連死の約半分が、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)であるとの調査結果もあります。
日本人の死因第2位である心疾患。
やっぱり油断大敵です!
まとめ
急性心筋梗塞は、生活習慣病とは縁遠いスポーツ選手でも発症する可能性のある病気です。
その原因は3つあり
- 隠れた動脈硬化
- 冠動脈の痙攣
- 先天性の冠動脈の異常
です。
スポーツを行う事(血圧上昇や心拍数の増加、酸素の必要量増加)で、これらの状態を悪化させ、急性心筋梗塞を誘発してしまいます。
ましてや、スポーツ選手はほぼ毎日高負荷の運動を行っているわけですから、身体には相当の負担が掛かっているはずです!
スポーツ選手が急性心筋梗塞を起こすのはごく稀ですが、胸痛や失神などの症状を伴った事がある人は、早急に病院で検査を受けるべきです!
自分を守るのは、誰でもない「自分自身」なんですから。
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