二次性高血圧は、その名の通り原因となる疾患が元で二次性に起きる高血圧を指します。
この二次性高血圧が起きる仕組みには、「レニン-アルドステロン系」という血圧上昇のメカニズムが関与しています。
今回は、(二次性)高血圧の仕組みであるレニン-アルドステロン系について分かりやすく解説していきます!
二次性高血圧とは
二次性高血圧は、原因疾患が元で発症する高血圧の事を指します。
その割合は、高血圧の人の約10%と考えられています。
原因疾患には、腎実質性高血圧や腎血管性高血圧、クッシング症候群、原発性アルドステロン症などがあります。
そして、これらの疾患により発症する二次性高血圧のほとんどにレニン-アルドステロン系が関与しています!
血圧上昇の仕組み【レニン-アルドステロン系】
何やら聞きなれない名前ですが、レニン-アルドステロン系とは、私達の体に備わっている血圧を調整する仕組みのことです。
このレニン-アルドステロン系は、腎臓や副腎から分泌されるホルモンである為、二次性高血圧の原因疾患(腎機能を低下させる疾患が多い)により腎機能が低下すると、血圧をうまく調整できなくなり、高血圧となります。
では、この仕組みをもう少し詳しくみていきましょう!
腎臓は、私達が健康で生活する為に、とても重要な働きを担っています。
その働きの一つに、血圧の調整があります。
腎臓は、体内の塩分と水分量を一定の量に調整する事で血圧を調整しています。
塩分にはナトリウムが含まれているのですが、ナトリウムが体内で多くなると、血液内にあるナトリウムを薄める為に体内の水分量が多くなります。すると、血液量も増えて結果的に血圧が上がります。
これによる高血圧を防ぐ為に、腎臓は塩分と水分を尿として体外に排出する事で、血圧を調整しています。また反対に、血圧が低い時には排出を抑えて血圧を上げます。
また、腎臓は低血圧の時にレニン-アルドステロン系を働かせる事で、血圧を上昇させる働きを持っています!
その仕組みは、
- 腎臓の血流が低下すると、血流を正常な状態に戻す為に腎臓からレニンが分泌されます。
- 肝臓などから血液中に分泌されるタンパク質である「アンジオテンシノーゲン」をレニンが分解して「アンジオテンシンI」を作ります。
- そしてアンジオテンシンIから、分解酵素である「アンジオテンシン変換酵素」によって「アンジオテンシンII」が作られます。
- このアンジオテンシンIIは、血管を収縮させる事で、血流の促進を促して血圧を上昇させる作用があります。また、副腎皮質に働きかけて「アルドステロン」を分泌させる作用もあります。
- アルドステロンは、腎臓に働きかけてナトリウムの排泄を抑え、再吸収を促します。つまり、体内にナトリウム留めるように作用します。
上記の機構により、血液量が増えて血圧が上昇し、血圧が正常になると事で腎臓からのレニンの分泌が抑えられます。
ここで重要なのは、レニンの分泌量は腎臓の血流のみに左右されるという事です!
つまり、腎機能の低下が起きると、先述したレニン-アルドステロン系の働きに支障が出て二次性高血圧を伴いやすくなります。
この点に関しては、また後程解説します。
二次性高血圧とレニン-アルドステロンの関係性
ここまでは、レニン‐アルドステロン系が血圧を上昇させる仕組みは解説しました。
では、二次性高血圧は、具体的にレニン-アルドステロン系とどのように関連しているのでしょうか?
二次性高血圧の原因疾患の一つである腎実質性高血圧は、腎機能の低下によりナトリウムが貯留してしまう病気です。
ナトリウムが体内に貯留すると、水分とともに体内に蓄積し、結果的に血液量を増加させて高血圧となります。
また、原発性アルドステロン症は、副腎の腫瘍や過形成により、アルドステロンが過剰に分泌される病気です。
先述したように、アルドステロンはナトリウムを体内に留める作用がありますから、腎実質性高血圧と同様のメカニズムにより、二次性高血圧を伴います。
そして、腎機能が低下する疾患全般に言えることですが、腎臓への血流が慢性的に悪くなると、レニン-アルドステロン系の作用も持続して働いてしまい、二次性高血圧を伴います。
更に、二次性高血圧の原因疾患の中には、食塩感受性の高い疾患があります。
塩分を摂取すると、塩分に含まれるナトリウムが血中に増える為、これを薄めようと水分量を増やして血圧が高くなります。
この時、腎機能が正常であれば、腎臓の血流増加を発端として
- レニン分泌抑制
- 排尿による体内ナトリウム・水分量の調整
などの作用により、血圧を下げます。
しかし、塩っぱい物を日常的に摂取して腎臓に負担をかけ続けると、腎臓は容量オーバーとなって機能低下を起こします。
先述したように、腎機能が低下する事で腎臓の血流が悪くなると、レニンは分泌量を増やしますが、これが高血圧の原因となってしまいます。
毎日残業が続くと、疲労が溜まって仕事の効率が悪くなるのと同じですね。内臓にも休暇は必要です!
また、余談ではありますが、肥満の人が高血圧になりやすいのは、「アンジオテンシノーゲン」が関係しています。
アンジオテンシノーゲンは主に肝臓で生成されますが脂肪細胞からも生成されるため、脂肪が増えるとこの物質の分泌を促すことにつながります。
すると、レニン-アルドステロン系の作用により、高血圧となるのです!
まとめ
レニン-アルドステロン系は、私達の体に備わっている血圧を上げるためのシステムです。このシステムは、腎臓の血液量がトリガーとなって発動します。
しかし、二次性高血圧の原因疾患や塩分の摂りすぎにより腎機能が低下すると、レニン-アルドステロン系がうまく働かず、高血圧となります。
こちらの記事もご覧ください。