妊娠した際
- 疲れやすい
- めまいがする
- 体がだるい
といった症状に悩んでいる妊婦さんもいるのではないでしょうか?
実はそれ、低血圧が原因かもしれません。
今回は、妊婦の低血圧の数値の基準と改善方法やや注意点について分かりやすく解説します。
目次
妊婦さんの低血圧の数値ってどれくらい?
妊婦さんになった場合の心配事の一つに高血圧があります。
「妊娠高血圧症候群」という言葉もあり、症状が進行すると、子癇(しかん)発作という命に関わるけいれん発作が起こる可能性があります。
また、肺や脳、心臓や腎臓など全身の臓器に機能障害を及ぼすなど、母子ともに危険を伴います。それだけの深刻なリスクがある為、妊婦の高血圧は重要視されやすい症状なんです。
では低血圧に関してはどうなのか?
結論から言うと、妊婦の低血圧に数値の診断基準はありません。
と言うのも、数値の上で血圧が低くてもはっきりとした症状がない限り医学的な問題はないと言われているからです。
ただ、あくまでも妊婦さんの低血圧に数値の診断基準が定められていないだけなので、一般的に定められている低血圧の数値に当てはまれば、低血圧に分類されます。
WHO(世界保健機関)における低血圧の基準は「100mmHg以下/60mmHg以下」と定めている為、この数値に該当する妊婦さんは低血圧という事になります。
また、妊婦さんの血圧は、通常は妊娠初期に最も低くなり、20〜30週ごろに妊娠前と同じくらいまでに戻り、32週以降は上昇する傾向にあります。
その為、妊娠20週以降も血圧が低い状態が続き、先述した数値に該当する場合は、妊婦低血圧と言っても良いかもしれません。
- 100mmHg以下/60mmHg以下
- 上記の数値が妊娠20週以降も継続
※明確な基準として定められてはいない
妊婦さんの高血圧の数値は?
妊娠20週以降、分娩後12週までに
「140mmHg以上/90mmHg以上」の数値を示した場合、妊娠高血圧症候群と診断されます。
また
「160mmHg以上/110mmHg以上」
上と下の血圧どちらかでも上記の数値に該当すると重度の妊娠高血圧症候群とされます。
妊婦さんの血圧の数値はいくつが安心?
- 至適血圧:90〜120/50〜80mmHg
- 正常値:130/85mmHg未満
- 正常高値:140/90mmHg未満
- 妊娠高血圧症候群:140/90mmHg以上
至適血圧は、妊婦に一番望ましい血圧とされ、脳梗塞や心疾患などの病気のリスクが最も低い数値です。
正常高値も正常内の数値ではあるのですが、妊婦高血圧症候群の一歩手前である為、生活習慣を見直す必要が出てきます。
妊婦さんで高血圧の方は、お医者さんに相談しましょう。
寝不足によるストレスと高血圧との関係はこちらの記事で解説しています。
妊婦に見られる低血圧症状
妊婦さんの低血圧の症状は、自覚のない場合が多いです。
それもあり、受診をしても診断がつかないのですが、中には症状で悩んでいる方がいるのも事実。
ここでは、妊婦さんに注意してほしい低血圧症状について紹介していきます。
妊婦さんの低血圧症状
- あくび
- めまい
- 疲れやすい
- 集中が続かない
- 頭痛や肩こり
- 手足の冷え
- 寝ても疲れが取れない
- 悪心や嘔吐
- 失神(意識を失う)
など。
一見するとよくありがちな事と見過ごしてしまうのですが、場合によっては転んで大切な母体や胎児に影響が出てしまうかもしれないので、注意しなければいけませんね!
妊婦さんのこんな低血圧症状には特に注意!
低血圧でない妊婦さんでも日常生活でのある行動で血圧が急激に下がる可能性があります!
既に低血圧の場合は更なる血圧の低下が起こるかもしれないので、注意が必要です。
起立性低血圧
起立性低血圧とは、起き上がりや立ち上がり時に急に血圧が下がる症状を指します。
本来は、自律神経の働きで心臓や血管の働きが活性化して血圧を調整するので血圧は保たれます。
しかし、妊婦さんの中には自律神経の働きが低下して血圧の調整機構がうまく働かず、低血圧を伴う事があるんです!
実は僕も低血圧傾向にあって、しゃがんだ状態から急に立ち上がった際にクラクラっとなることがよくあります。
気を失うんじゃないかってくらいフラついたことも…。
これがお腹を大きくした妊婦さんだった場合、バランスもうまく取れずとても危険です!
ゆっくり動き始めると、血圧の急激な低下も改善されるので、急に立ったり起きたりするのは避けましょう。
仰臥位低血圧症候群
「妊娠中期~後期」の時期には、寝る姿勢によって低血圧を生じます。
この時期になると、胎児の大きさが増し、羊水の増量も合わさって子宮はかなりの大きさと重さになります。
脊骨と子宮の間には、下大静脈(下半身の血液を心臓に戻す血管)という心臓に繋がる血管があるのですが、仰向けに寝る事でこの血管が大きくなった子宮に押しつぶされてしまいます。
これにより、血液が心臓に戻る道が塞がれてしまいます(水が流れるホースを踏んだ状態をイメージして下さい)。
戻って来なければ送り出す事も出来ない為、結果的に心臓から送り出す血液量が減り、低血圧を伴います。
このように、妊婦の人が仰向けで寝ていて低血圧になる事を「仰臥位低血圧症候群」と言います。
症状としては、足のむくみや気分不快、ひどい時には失神してしまう事もあります。
仰向けで寝ている時にこのような症状が現れたら、背中に枕やクッションを敷いて左の横向きになると症状が改善されます。
その理由は、心臓に繋がる静脈は脊骨の右前側にある為、左側を下にすることで静脈への圧迫が改善されるからです。
引用元:産婦人科の基礎知識
妊娠中のめまいや立ちくらみは、低血圧症状の可能性あり!
妊婦さんの低血圧はこれで改善!
先述したように、妊婦さんの低血圧は妊娠時期によって異なります。
妊娠初期に関しては、つわりで辛い思いをする人が多くなり、食べ物や飲み物を十分に摂取できない事も多くなります。
これにより、水分や血液量を含めた循環血液量が減り、低血圧を生じることがあります。
低血圧になると、血行不良や水分・栄養不足で脳に栄養や酸素を送る力が弱くなる為、めまいや立ちくらみなどを伴います。
また、時期に関わらず、慢性的に血液循環が悪くなっているかもしれませんので、それらの改善を図ることが低血圧の改善にも繋がる可能性があります!
食事
まず最初は食事の改善です!
つわりがひどいと食事をするのも大変だと思います。
僕の奥さんは、臭いづわりが酷くて食事はおろか臭いすら避けていました。
ですので、まずは食べれられる物から食べる事が大切です。
ただ、あまり偏食になると高血圧の原因にもなるので気をつけて下さい。
- バナナ、カツオ、鮭、鳥ささみ、キャベツなど
これらは、つわりの緩和に良いとされる「ビタミンB6」が豊富に含まれています。
ビタミンB6は、皮膚や粘膜の健康維持の他、妊娠中には吐き気や胃のむかつきを抑える作用があります。
中でもおすすめなのがバナナです!
手軽に食べれて匂いも少なく、持ち運びもできるので、妊婦さんの栄養補給には優秀な食べ物です!
ジュースにして飲めるのも良いところですね(^ ^)
僕の奥さんもよく食べていました!(というか、それくらいしか食べれていませんでした…)
他にも「冷やご飯、うどん、そうめん、豆腐など」もオススメです!
これらは、のど越しが良く、匂いも少ない為、妊娠初期のつわりがひどい時には食べやすい食品です。
白米がきつい人は、麺類を食べると良いかもしれません!
何を食べるかも大切ですが、それ以上に3食きちんと食べることも重要です。
特に炭水化物は脳のエネルギーとなりますから、できるだけ意識して食べる事を心がけるとともに、タンパク質と食物繊維もバランス良く食べましょう!
今一度、食生活の改善を行ってみては!?
無理はせず、食べられる物を食べる。バナナやうどん、豆腐がオススメ
水分補給
妊娠中は、つわりの影響で水分が不足し、体内の血液量が減ることで貧血を起こして低血圧を伴います。
ですから、水分摂取を意識する事も妊婦さんの低血圧の改善には重要です!
特に、朝の起床後は寝ている間に水分が失われている為、血圧が低くなりやすい時間帯でもあります。
その為、寝起きに200㎖程の水を飲むようにし、1日に1ℓ程度を目安に飲みましょう。
運動
運動も低くなった血圧の改善には大切です!
運動不足は全身の血液循環を悪くしてしまうのですが、その要因として大きいのが、ふくらはぎ。
ふくらはぎの筋肉を使わなくなると、下半身に溜まった血液が心臓に戻りにくくなり、足のむくみや血行不順を引き起こします。
また、女性は筋肉量が男性に比べて少ないので、低血圧を起こしやすいという特徴もあります。
自律神経が不安定な妊婦さんなら尚の事!
ですから、足を動かす運動を日常生活に取り入れる事が妊婦さんの低血圧改善に重要です。
おすすめは、ウォーキングや階段の上り下りです。
これらは比較的低負荷で、日常で取り入れやすい運動でもある為、実践しやすい運動です!
出かけた際は、なるべくエスカレーターや自転車を使わないなど、少しでも運動量を増やすように意識しましょう!
ウォーキングは、ポイントを抑えて行うと効果が倍増です!
こちらの記事で詳しく紹介していますので、参考にして下さい。
まとめ
いかがでしたか?
ここで妊婦さんの低血圧についてざっとまとめてみます。
- 診断基準は定められておらず、一般的な数値である「100/60mmHg以下」が1つの目安
- 血圧が上昇し始める妊娠20週以降も上記の数値が続く
- 身体の中では、血行不良や水分・栄養の不足が起きている
- 自覚症状がない場合が多い
- 妊娠中期以降は、起き始めや仰臥位で血圧が急激に下がる事がある
以上のような特徴があります。
自覚症状がない場合は医学的にも問題はない為、診断はつかないようですね。
ですが、妊娠中のめまいや立ちくらみが現れたら、それは低血圧による症状かもしれないので、注意が必要です!
- 「ビタミンB6」を中心とした食事バランスの改善と水分摂取
- ウォーキングなどの軽めの運動
血行を良くすることが低血圧の改善に繋がるかもしれないので、生活習慣の見直しも必要かもしれませんね、
妊婦さんで低血圧になっても、自覚症状がない場合は気にする必要はないですが、もし先述した症状に悩んでいる場合は、転倒などのリスクを伴う為、お医者さんや助産師さんに相談しましょう。
こちらの記事もご覧下さい。