脳内の血管が破ける事で様々な後遺症が現れる脳内出血。
その後遺症の一つに、痙攣という症状があります。
この痙攣という症状。場合によっては後遺症の回復に多大な悪影響を及ぼす可能性があるので、理解を深める事は重要です!
そこで今回は、脳内出血の後遺症で起こる危ない痙攣の見分け方について解説していきます!
目次
脳内出血と痙攣
脳内出血は、文字通り脳の内側にある血管が出血を起こす事を指し、運動麻痺や感覚障害、言語障害、意識障害などの後遺症を伴います。
また、脳内出血の後遺症の中には痙攣が起きる場合もあり、特に発症後間もない皮質下出血で頻度が高くなります。
皮質下出血は、脳の表面に出血を起こす脳内出血の一種です。
「脳卒中治療ガイドライン2009」によると
脳内出血の発症直後に痙攣が起きる確率は脳梗塞の約2倍とされています。
更に、脳内出血の発症後2週間以降に痙攣を起こした場合は、再発する確率が高くなるとあります。
つまり、脳内出血を発症して2週間以降に痙攣を起こした場合は、後遺症として痙攣を伴う事があるんです!
ですが
痙攣の有無がその後の機能予後に影響を与える事はない
との記載もある事から、後遺症の回復に直接的な悪影響が及ぶ事はないと思われます。
しかし、場合によっては脳内出血の回復を妨げるどころか、重大な後遺症を引き起こす可能性があるんです!
その理由に関しては後述します。
痙攣(けいれん)とは
まず、痙攣について軽く触れていきたいと思います。
本来、私達は自分の意思で体を動かしていますが、何かしらの理由によって脳〜筋肉に至る神経回路のどこかに障害が生じると、異常な電気信号が発生する事があります。
この異常な電気信号が全身もしくは一部の筋肉に伝わる事で、発作的に不随意運動(意思とは関係なく勝手に動く事)が起こり、筋肉が収縮します。
これが痙攣です。
ただ何故、異常な電気信号が起こるのかは明確になっていません。
痙攣が起きる原因は、脳が原因で起こるものと脳以外が原因で起きるものがあります。
大脳が原因で起こる痙攣
大脳からの異常な電気信号が筋肉に伝わる事で、痙攣を起こします。
- てんかん
- 脳腫瘍
- 脳血管障害
- 脳炎
- 髄膜炎
- 頭部外傷
今回解説する脳内出血は、脳血管障害の中の一つです。
他にも上記が原因となり、脳に異常をきたす事で痙攣を起こします。
脳以外の原因による痙攣
- 電解質異常
- 低血糖
- 腎不全
- 肝不全
- 熱性痙攣
- 薬の副作用
ちなみに、こむら返りも痙攣の一種です。
痙攣の種類
痙攣は、以下の種類に分けられます。
全身性痙攣
- 強直性痙攣
体幹・四肢を中心に、ピーンと突っ張ったように硬直する痙攣です。
寝起きに布団の上で体を伸ばす様な動きに近いかもしれません。
- 間代性痙攣
筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、四肢がガクガクと震える痙攣です。
寒い時に体が震える様なイメージでしょうか。
- 強直間代性痙攣
突然の意識消失後、10〜20秒の硬直性痙攣が起こり、次に30〜60秒の間代性痙攣が起こります。
強直性痙攣と間代性痙攣が混在したタイプですね。
そして、痙攣が収まると昏睡状態に入ります。
局所性痙攣
局所性痙攣とは、腕や足、瞼や顔面に限局的に現れる痙攣です。
これは、大脳の腕や足の運動を司る場所に限局的に異常電気信号が伝わる事で生じます。
他にも
- 特定の筋に痛みを伴う「有痛性筋痙攣」
- 末梢神経の興奮で痛みや痺れを伴う「テタニー」
- 手首や指先がリズミカルに揺れる「羽ばたき振顫」
などがあります。
部分的な痙攣や意識が回復してすぐに収まる痙攣であれば、慌てる必要はないのですが、中には危険な痙攣があるんです。
危険な痙攣「重積痙攣」
痙攣発作が長く続いたり、短い間隔で頻発する状態を重積痙攣といいます。
重積痙攣の多くは、3分以内に収まるのですが、中にはそれ以上続く場合があります。
そして、重積痙攣が20分以上続いた場合、脳には重いダメージが残ります!
ここが今回の記事のポイントです!
それは、痙攣が起こると脳で消費される酸素量が増える上に、呼吸が抑制されて低酸素状態になるので、脳に障害を来す可能性があるからです!
これにより、意識障害や運動障害が悪化する可能性があり、重度になると脳死や生命の危機となる事もあります。
視覚的にはチアノーゼを伴い、くちびるや指先が紫色になる事が特徴です。
せっかくリハビリを頑張って身体機能が回復してきても、一瞬でその努力が崩れ去ってしまうかもしれません。
ですから、痙攣が5分以上続くようであれば、救急車を呼ぶなどの迅速な対応が必要になります。
脳内出血の後遺症の回復
最後に、痙攣以外の脳内出血の後遺症の回復に関してですが、出血部位や程度によって現れる症状も様々である為、どこまで回復するかは断言できません。
ただハッキリしている事は、一度障害を受けた神経細胞は回復しません。
つまり、元には戻らないという事です。
その為、高い確率で後遺症を伴います。
脳内出血は、高血圧が原因の多数を占めていますが、中には先天性のものもあります。
痺れや頭痛、しゃべりにくさ、ふらつきなど少しでも異変を感じたら早急に受診をして、発症を未然に防ぐ事が大切です!
まとめ
脳内出血で脳内の神経に傷を負うと、異常電気信号が発生して痙攣を伴う事があります。
一度の発作で収まる場合が多いですが、脳内出血の発症後2週間以降に痙攣が起きた場合は、後遺症として痙攣を伴う可能性があります。
痙攣は、数分で収まる事が多いのですが、中には「重積痙攣」と言って、痙攣が長く続いたり、短い間隔で頻発する場合があります。
痙攣が5分以上続く場合は、低酸素状態で脳にダメージが生じる事がある為、すぐに病院にかかるなどの対応が必要になります。
痙攣を含め、一度残った脳内出血の後遺症は、完全には回復しません。
ですから、定期的な検診と異常を感じたら、すぐに受診するなどの迅速な対応が重要です!
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