脳血栓は脳梗塞の一種です。
脳血栓を発症すると脳の血管が血栓という血の塊で詰まってしまい、栄養や酸素が脳組織に供給されない事で、片麻痺や言語障害などの後遺症を伴います。
ですが、脳血栓を起こす前に前兆が見られる事がある為、予防には前兆を見逃さない事が大切です!
脳血栓の前兆にはどんなものがあるかチェックしていきましょう!
目次
脳血栓の前兆
脳血栓は、脳の血管の中にコレステロールなどの脂肪が沈着することでアテロームと呼ばれるドロドロした物質ができてしまい、血流を阻害して詰まらせてしまう脳の病気です。
脳血栓によって生じる前兆は、詰まってしまう血管によって症状が異なります。
脳に栄養を与えている血管は、内頚動脈と椎骨・脳底動脈の2つがあります。
これらは、脳に栄養を運ぶ担当場所が異なる為、どの動脈にアテローム血栓(脳血栓)が起きるのかで、前兆の表れ方も異なるわけです。
内頚動脈
内頚動脈は、発声や運動、認知や判断などの高次脳機能を担当している前頭葉、感覚や空間認識を担当している頭頂葉、言葉の理解や記憶を担当している側頭葉や目の動脈など実に多くの部位に栄養を送っています。
その為、内頚動脈に問題が生じると、片麻痺や感覚障害、言語障害、高次脳機能障害、視覚障害などの前兆が表れます。また、ひどい時は意識障害が表れることもあります。
椎骨・脳底動脈
椎骨・脳底動脈は、歩行や手足、目などの滑らかな運動やバランス反応の機能を司る小脳、意識や呼吸、嚥下、自律神経(血圧・体温調整など)のコントロール、姿勢保持を司る脳幹に栄養を送っています。
ここに問題が生じると、めまいや吐き気、滑らかに手足を動かせない、ふらふらして真っ直ぐ歩けない、意識障害などの前兆や後遺症を伴います。
脳幹は、生命維持に重要な器官である事から、最も重症の脳梗塞と言われ、重い後遺症が残る場合があります。
これらは、内頚動脈:椎骨・脳底動脈=4:1
脳梗塞(脳血栓)の前兆【一過性脳虚血発作】
脳血栓に限らず、脳塞栓(心臓で出来た血栓が飛んで脳の血管を詰まらせる病気)も含めた脳梗塞の前兆には、一過性脳虚血発作があります。
一過性脳虚血発作とは、脳や心臓に出来た血栓が原因で脳の血流が悪くなる事で、様々な症状を伴いますが、血栓が不完全な為に次第に溶けてなくなります。
これにより、症状は数分〜24時間以内に完全に消失します。
症状としては、
- 片半身に力が入らない
- 片半身が痺れる
- うまく話せない・理解できない
- 片目が見えない
- 呂律が回らない
- 物が二重に見える など
これらのチェック項目に該当する症状があったら、すぐに病院に行きましょう!
何故なら、一過性脳虚血発作を起こしてから15〜20%の人が3ヶ月以内に脳梗塞を発症し、このうちの半数が48時間以内に発症しています。
ですから、脳梗塞は時間との勝負になります!
ここで、脳血栓の前兆(一過性脳虚血発作)をチェックする方法を紹介します。
FAST
FASTとは、脳血栓の前兆である一過性脳虚血発作の重要な要素をまとめたチェック方法です。Face(顔)、Arm(腕)、Speech(言葉)、Time(時間)の4つの項目でチェックします。
Face(顔)
顔の麻痺のチェックです。
何もしていない状態で片側の口角が垂れ下がっていないか、口をいっぱいに広げて「いーっ」と声を出した時に口角が上がるかチェックします。
Arm(腕)
腕の麻痺や感覚障害がないかのチェックです。目を閉じて両腕を上げてキープできるか、握力が落ちていないか、痺れはないかをチェックします。
Speech(言葉)
発話や言語理解のチェックです。呂律が回っているか、会話が成立するか、理解できるかをチェックします。
以上の3つのどれか一つでも当てはまれば、一過性脳虚血発作かもしれません。
先述したように、症状が軽いからといってこれらの前兆があるのに放っておくと、脳血栓や脳塞栓を発症するリスクが高まってしまいます。
Time(時間)
FAST最後のチェック項目が、Time(時間)です。つまり、早めの受診が重要だという事です!後悔しても時間は戻って来ませんからね。
前兆のない脳梗塞
脳梗塞を発症した人の約4分の1の人が前兆なしに発症しています。
これは、脳梗塞の一種である脳塞栓と呼ばれているもので、心臓で出来た血栓が脳の血管に移動して詰まらせます。
脳血栓が徐々に血栓を大きくするのに対し、脳塞栓は血栓が完成されてから詰まらせる為に前兆がなく発症します。
それでも高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が発症のリスクを高める為、脳梗塞のリスクをチェックするという事で考えれば、これらに該当する人は要注意です!
まとめ
脳血栓の前兆には、一過性脳虚血発作があります。
これは、数分から数時間以内に症状が消失しますが、発症してから48時間以内に脳血栓に発展する可能性が高い為、迅速な対応が重要になります。
この脳血栓の前兆をチェックする方法が、FASTです。
Face(顔)=顔に麻痺や痺れがないか、Arm(腕)=腕に麻痺や痺れがないか、Speech(言葉)=呂律が回っているか、うまく話せるか、Time(時間)=脳血栓の前兆が起きてから時間との勝負
以上の3つの前兆のチェックと1つの意識が、脳血栓の予防に必要です!とにもかくにも、異常を感じたら即行動です!
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