脳血栓は脳の血管内に血栓と呼ばれる血液の塊ができて血流を阻害する脳の病気です。
脳血栓の原因には動脈硬化が大きく関与していますが、この動脈硬化を起こす原因の一つにストレスがあります!また、心臓の病気である心弁膜症が脳に与える影響とは?
今回は、脳血栓の原因にストレスや心弁膜症が関係しているのか、解説していきます!
脳血栓の原因
脳血栓は、脳の血管内に血栓と呼ばれる血液の塊ができて、血管を詰まらせてしまう脳の病気です。
この脳血栓は、動脈硬化が原因で発症します。
動脈硬化とは、コレステロールが動脈(血管)の中に蓄積することで血管の壁が分厚くなり、コブができたり硬くなる事で血液の流れが悪くなる病気です。
この動脈硬化の原因として挙げられるのが、食生活の偏りや運動不足、喫煙などです。これら生活習慣が乱れると、高血圧、糖尿病、脂質異常症などのいわゆる生活習慣病を伴い、これらが動脈硬化を引き起こします。
元を辿っていけば、脳血栓の原因は生活習慣の乱れによるところが大きいですね。
ストレスと脳血栓
脳血栓が起きやすくなる原因には、動脈硬化が大きく関与しており、動脈硬化のリスクを高める原因には生活習慣の乱れが関係していると先述しました。
では、ストレスは脳血栓とどのように関連しているのでしょうか?ストレスが身体に与える影響は実に多く、脳血栓のリスクを高める原因となっているんです。
ストレスが脳に与える影響をいくつかみていきましょう。
ストレスと血流
ストレスは、血管を収縮させる作用があります。これにより、血流が悪くなり血管への圧力が強まり、高血圧になりやすくなります。
ストレスと自律神経
自律神経には、心身を活発にする交感神経(血圧上昇、血管収縮、筋肉の緊張など)と心身の休息や回復を行う副交感神経があります。
これらは拮抗関係にあり、どちらか一方が活発になれば、もう片方は抑制されます。
そして、運動する時は交感神経が優位になり、眠る時は副交感神経が優位になるなど、場面に応じて自動的に身体の反応を調整してしています。
しかし、慢性的にストレスを抱えると自律神経が乱れて緊張状態が続き、交感神経が優位になってしまいます。それにより血管が慢性的に収縮を強め、結果的に高血圧の原因となってしまいます。
翌日に楽しい事や大事な予定があって興奮して眠れないという時は、誰でも経験があるのではないでしょうか?
これは、就寝時(身体を回復させる時)に交感神経が優位になっている為です。もちろんストレスを抱えている時も同様です。
ストレスと食事
ストレスを抱えると過食気味になってしまう人がいますが、当然食べ過ぎは身体によくありません。過食は、過剰な塩分、糖分、脂質の摂取に繋がり、高血圧や糖尿病、脂質異常症の原因となります。
また、内臓脂肪が蓄積されて下っ腹が膨らんでしまい、これが高血圧の原因にもなります。
ストレスとホルモン
ストレスを抱えると「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
その働きには、血糖値が低くなった時に血糖値を上げる、ストレスを感じた時に血圧や心拍数を上げて臨戦態勢を整えて運動機能を向上させる、脂肪の分解の促進などの作用があります。
中でも血糖値への働きは、ストレスが継続することで糖尿病になり、脳血栓の原因となります。詳しくみていきましょう。
私達の身体には、脳や筋肉が働く為のブドウ糖が不足しても体内でブドウ糖を作り出すことができます。
これは糖新生といって、筋肉を分解して肝臓でブドウ糖を作り出します。この働きを促進するのがコルチゾールです。
本来ならこの働きは、身体がエネルギー不足に陥った時に身体活動を維持する為の正常な反応なのですが、ストレスが慢性化すると、この働きにより血糖値の高い状態が続いて糖尿病のリスクが高まってしまいます。
更にコルチゾールには、血糖値を低くするインスリンというホルモンの働きを抑制する「インスリン抵抗性」という作用もあります。
これらが原因となり、慢性的かつ過度なストレスによるコルチゾールの分泌過多は、糖尿病を引き起こしやすくしてしまいます。
適度なストレス(試合の前や試験前など大事な場面)は、先述したように臨戦態勢を取りパフォーマンスを上げる為にプラスに働きます。
ここで問題なのは、ストレスが長く続いてしまう事です。これにより、身体は休む態勢をとることができず、負担がかかり続けて、病気へと発展してしまいます。
心弁膜症と脳血栓
心弁膜症とは、心臓の病気です。
心臓は、心筋という筋肉の働きでポンプのように縮んで拡がるという規則的な動きをしています。この働きにより、酸素を含んだ血液は全身に運ばれます。
少し具体的にみてみましょう。
使い終えてた酸素(二酸化炭素)は、血液に乗って全身から心臓に取り込まれた後、今度はポンプ作用で肺に送ります。
ここで、肺で新しい酸素と入れ替えられ(呼吸によって二酸化炭素は排出され、酸素が体内に取り込まれます)て血液とともに再び心臓に戻ります。
そして心臓から全身に新鮮な酸素を乗せた血液が送りだされるのです!
この血液の流れは一方通行で、逆流しないように「弁」と呼ばれる蓋があります。普段は逆流を防ぐために閉じている弁は、血流に合わせて開いて血液の通り道を作ります。
この弁の機能が様々な原因で低下してしまうのが、心弁膜症です。心弁膜症には、二つのパターンがあります。
一つ目は、逆流(閉鎖不全)です。弁が分厚くなる、硬くなる、壊れるなどの理由によって、弁が閉じる機能が低下し、血液が逆流してしまいます。
二つ目は、狭窄です。弁の機能不全により弁の開きが不十分だと、血液の通る道が狭くなってしまい血流を悪くしてしまいます。
これらは、同時に起こることもあります。
これらにより、円滑な血液の流れが阻害されますが、心臓はそれらの不具合を補うように過度に働き、血流は保たれます。
しかし、不具合箇所はそのままに無理矢理血液を押し出している為、悪化してくると肺に血液が溜まり、呼吸困難や息切れ、足のむくみ、身体のだるさや疲れやすさが症状として表れます。
また、心臓に負担がかかり続けると血流のリズムが乱れて不整脈(脈のリズムが乱れる)を伴います。
これにより、血流が滞りやすくなる為、心臓に血栓ができやすくなり、この一部が脳血管に飛んで脳梗塞を発症します。
この場合、心臓にできた血栓が元で起こる脳梗塞である為、心弁膜症は脳血栓ではなく、脳塞栓の原因となります。
まとめ
脳血栓は、脳の血管内に血栓と呼ばれる血液の塊ができて血流を阻害する脳の病気です。
脳血栓の原因には、動脈硬化が大きく関係しており、動脈硬化を発症するのが生活習慣の乱れです。
また、ストレスによる様々な身体への影響により、高血圧や糖尿病、脂質異常症など動脈硬化の危険因子のリスクが高まります。
心臓の病気である心弁膜症は、血液の正常な流れを保つ役割を持つ弁の機能不全を起こします。これにより、不整脈を伴い、心臓に血栓ができやすくなります。
この血栓が脳の血管に移動すると詰まりの原因となり、脳塞栓を発症します。
脳血栓は、脳の血管に発端となる原因がある脳の病気である為、心臓が発端で起こる心弁膜症は、脳塞栓の原因となります。
いずれにしても、慢性的なストレスや心臓の病気である心弁膜症が脳に対して悪影響を及ぼすことは事実です!
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