頭痛と脳卒中との関連性は重要です。
脳出血やくも膜下出血においては、前兆や発症後の症状として表れる事が多い為、病気の悪化を防ぐ意味合いが強いです。
しかし、脳血栓にとっては発症を予防する上で頭痛が重要なポイントになります!それにはどんな関連性があるのでしょうか?
今回は、脳血栓の頭痛と治療について解説していきます。
目次
脳血栓と頭痛
脳血栓は、動脈硬化により脳の血管が硬く脆くなる事によって、血栓という血液の塊が出来て血管を詰まらせてしまう脳の病気です。
頭痛が症状として表れる脳出血やくも膜下出血は、脳に血液が漏れ出して血管や神経を圧迫し、結果頭痛として痛みが出現します。
ですから、血管が詰まる脳血栓には頭痛が症状として表れることはあまりありません。
脳血栓の症状には、片麻痺や感覚障害、言語障害などがあり、前兆症状には、手足が動かしずらくなり動作が拙劣になったり、呂律が回らない、飲み込みがうまくできなくなるといった症状があります。
これらを見ても脳血栓(脳梗塞)と頭痛はあまり関連性がないことから、重要視される事もありませんでした。
しかし、脳血栓と頭痛の関連性で重要なのは、症状として表れるかではなく、頭痛が脳血栓の発症に深く関係しているということが、最近では分かってきました。
この点に注目して解説していきます!
頭痛の分類
頭痛は、一次性頭痛と二次性頭痛に分けられます。
一次性頭痛
一次性頭痛とは、病気との関連性が低い頭痛を指し、3つに分類されます。
1つ目は、片頭痛です。
これは原因が明確になっていないのですが、ストレスや気圧の変化などにより脳の血管が拡がって炎症を起こし、周囲の神経を圧迫する事が原因で生じるのではないかと考えられています。
症状の表れ方は、脈拍に合わせてズキンズキンといった痛みで、頭の片側に頭痛が生じるなどの特徴があります。
2つ目は、緊張型頭痛です。
これは、スマホやパソコンなど猫背になるような不良姿勢を長時間とる事で起こります。
姿勢が悪くなると首や肩周りの筋肉が硬くなり、これが血管を圧迫することで血流不良(酸素や栄養の取り込みが不十分になる)となり、疲労物質が血管内に蓄積する事で痛みとして感じます。
症状の表れ方は、頭を締め付けられるような頭痛で、後頭部を中心に痛みを生じ、首や肩のコリを感じるなどの特徴があります。
3つ目は、群発性頭痛です。
これも原因が明確になっておらず、目の後ろにある動脈が拡張して炎症を起こし、神経を刺激して起こるのではないかと考えられています。
症状には、目をえぐられるような激しい頭痛があります。
二次性頭痛
二次性頭痛とは、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、精神疾患、感染症など病気が元で起こる頭痛を指します。
これらのうち、くも膜下出血や脳出血の症状として表れる頭痛は、頭の中で出血が起きることで、頭蓋骨内(頭蓋骨の中には脳が詰まっています)の圧力が高まり、脳血管にある痛みを司る神経が圧迫される事で生じます。
脳血栓の症状として頭痛が表れることは稀ですが、先述した片頭痛が若年性(45歳以下)の脳梗塞を起こすリスクを高めると言われているんです!
それは何故か!?
実は頭痛が頻回に起きると、血管に炎症が起こって小さな損傷を生じています。これにより血管が硬くなったり脆くなってしまい血液の流れを阻害し、詰まりの原因となります。
これが、頭痛によって脳血栓のリスクが高まる理由です!
また、片頭痛には前兆を伴う片頭痛と伴わない頭痛があるのですが、ギザギザの光が見える、目眩やあくびが出るなどの前兆症状を伴う場合、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)のリスクが2倍近く高くなると言われています。
脳血栓の治療
では、脳血栓の治療にはどんな方法があるのか見ていきましょう。
脳血栓の治療には、発症してからどれくらい時間が経過しているかに応じて、カテーテル(医療用の細い管)や点滴、薬を使用して血栓を溶かしたり、血栓になる(血液が固まる)のを防いで血流の改善を図ります。
しかし、これらの治療を施しても麻痺や言語障害などの症状が残る可能性はあります。(もちろん発症後、早期の治療が有効なのは明白ですが)
ですから、脳血栓の治療には医療的な対応が必須なのはもちろんの事、前述した頭痛の予防や治療を行うことで脳血栓の発症リスクを低くすることも重要になります!
ここからは、脳血栓のリスクになる頭痛の治療・予防について実践しやすい方法を紹介していきます。
冷やす
前述したように、片頭痛は血管が拡がり過ぎているのが問題となっている為、アイスタオルなどで冷やすと血管が収縮して頭痛の緩和を望めます。
冷やす場所は、首の後ろが効果的です。首には太い血管があり、それが脳に繋がっている為、首から頭全体の血管を冷やすことができます。
反対に、温めると血管が拡がって頭痛が悪化する可能性がありますので、片頭痛が起きた日は首や頭を温め過ぎないように注意が必要です。長風呂や過度な運動は控えましょう。
コーヒー(カフェイン)を飲む
コーヒーに含まれるカフェインには、血管を収縮させる作用があります。また、コーヒーほど多くはないものの、緑茶や紅茶、ウーロン茶などにもカフェインは含まれています。
ただ一つ注意したいのが、緊張型頭痛の場合はカフェインの摂取は控える必要があります。
というのも、同じ頭痛という症状でも根本的な原因が対照的で、片頭痛は血管が拡がっている、緊張型頭痛は血管が縮んでいることが原因で頭痛を起こしています。
従って、緊張型頭痛でカフェインを摂取すると症状を悪化させてしまう可能性があるからです。
休息をとる
頭痛は、自律神経が乱れることでも生じます。
自律神経とは、心臓や肺、胃など私達が生きていく上で24時間休むことなく働き続ける臓器の活動をコントロールしている神経のことです。
これには、活動時や昼間に働く交感神経と休息時や夜に働く副交感神経の2種類があります。自律神経が乱れると、これらのバランスが崩れて身体に様々な不調を伴います。
休息は、リラックスすることで自律神経を整えて拡がり過ぎた血管を緩和させることを目的とします。
しかし、長時間の睡眠を取ってしまうと、副交感神経が活発になり過ぎて血管が拡がり、かえって頭痛が悪化する可能性もあります。
寝すぎて頭が痛い時は、このような現象が起きていることが考えられます!
ここまでは、頭痛が起きた時の対処ですが、脳血栓の治療を考える上では、頭痛そのものを予防することも治療の一環として重要です。
脳血栓(または頭痛)の予防及び治療には、食べ物が大きく関係してきます!
ビタミンB群
片頭痛は、肥満体質の人に多いと言われています。
その理由としては、体内の脂肪が血管の細胞を傷つけて炎症を起こす為です。これを防ぐのにビタミンB群が活躍します!
ビタミンB2は、血管の炎症を防いで片頭痛を予防します。また、ビタミンB2とビタミンB6は、過度な自律神経の働きを抑える働きもあります。
これらのビタミンBを多く含む食材は以下の通りです。
- レバー
- 卵
- 納豆
- 乳製品
- かつお、まぐろなどの魚類
- バナナ
マグネシウム
マグネシウムは、細胞の中に存在して血管の炎症を抑える働きをするミトコンドリアの栄養素になります。マグネシウムが不足するとミトコンドリアの働きが悪くなる為、片頭痛が起きやすくなります。
マグネシウムを多く含む食材は以下の通りです。
- アーモンドなどのナッツ類
- 魚介類 など
逆に、片頭痛を助長してしまう(血管を拡げてしまう)食べ物もあります。
それは、ポリフェノールを多く含むチョコレートやココア、柑橘類が挙げられます。また、チラミンを多く含む発酵食品や漬物は、片頭痛を悪化させてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
そして、脳血栓の治療として考えると、血液をサラサラに保ち血栓ができるのを防ぐことが重要になります。
血液をサラサラにする食材は、ずばり青魚です!良質な脂質も含まれてますから、健康を維持していくには重要な食材です!
この他にも水分摂取や運動習慣を付ける、禁煙、節酒などの生活習慣の意識も脳血栓の予防及び治療には重要です。
まとめ
いかがでしたか?
脳血栓の症状で頭痛が生じることは稀ですが、片頭痛が原因で血管を傷つけて脳血栓のリスクを高めてしまいます。
脳血栓の治療には、原因となる血栓を溶かす手術や点滴、血液が固まりにくくする薬の服用などの方法があります。
しかし、大切なのは予防を考える事です。それには、片頭痛の緩和と予防が重要になります!
首を冷やす、休息をとる、食べる物を意識する、これらにより脳の血管の拡がりを抑える事が頭痛の予防と、脳血栓のリスクの低下に繋がります。
頭痛の緩和を図って脳のトラブルを防止しましょう!
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