- 最近、頭がボーッとする
- 試験や受験の勉強効率を上げたい
- 物忘れが多い
それ、脳に必要な食事の栄養が足りていないからかも。
思考や動作の司令塔である脳は常に栄養を欲しているので、栄養不足は脳の働きを低下させてしまいます。
また、目的によって脳が必要とする栄養も異なってくるので、目的別で食事から得られる脳の栄養について紹介していきます!
目次
脳が必要とする栄養と食事「エネルギー源はブドウ糖」
脳が働く為に必要な栄養を供給する為には、食事が非常に重要になります。
まずは脳に必要な栄養とは何か?について。
筋肉や内臓はエネルギー源としてブドウ糖の他、脂肪やタンパク質を利用していますが、脳が食事から得られる唯一のエネルギー源はブドウ糖のみです!
ブドウ糖の食事からの供給源は、ご飯やパン、砂糖などの糖質です。
脳は全体重の2%程の重量しかないのに消費エネルギーの約18%を占め、1日に約120g(体重70kgの成人男性の場合)ものブドウ糖を消費していると言われています。(ご飯1杯(150g)で約57gの糖質(ブドウ糖)が含まれている)
それだけエネルギーを消費して働いているってことなんですよね。
ブドウ糖が不足すると、脳が正常に機能しなくなってしまい
- 集中が持続しない
- イライラする
- 体温が上がらない
- 疲れやすい
- やる気が出ない
などの悪影響が生じる可能性があります。
体には、脳や内臓、筋肉がエネルギー不足にならないように自動で栄養を作り出す二つのシステムがある。
一つは「糖新生」で、主に脂肪をブドウ糖に変換するシステム。
二つ目が「ケトン体回路」というシステム。これも脂肪を原料にしてケトン体という物質を作り出す。脳はブドウ糖以外にもこのケトン体をエネルギーにする事ができる。
つまり食事からのブドウ糖摂取がなくても体内で脳の栄養を作り出す事ができる!
脳に栄養を届ける為に必要な栄養
脳に大切な栄養はブドウ糖ですが、それをエネルギーに変換したり円滑に送り届けないと脳はうまく働くことができません。
つまりブドウ糖の他にも必要な栄養があるということです。
一つ面白い実験があったので紹介します。
大塚製薬さんが東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授と共同で行った実験によると
栄養調整食品(流動タイプ)を飲んだ場合、糖液や水だけを飲んだ場合と比べて、脳の前頭前野内側面での活動が高くなっている
つまり、ブドウ糖単体よりも脂質やタンパク質、ビタミンやミネラルなどの栄養をバランスよく摂取する事で脳(特に前頭前野)が活性化するという事です。
前頭前野とは、脳の額にある前頭葉の一部です。ここは「考える」「イメージする」「感情をコントロールする」「臨機応変に考える」「判断する」など高度な機能を司っています。
その為、エネルギー源であるブドウ糖を中心として他の栄養も不足すると、「物忘れ」「イライラ」「集中力の低下」などが起こりやすいんです。
朝が苦手という人は、朝食をバランスよく摂取すると良いかもしれませんよ!
人間が他の動物と大きく異なるのは前頭葉の大きさ。人間の前頭葉が脳の30%を占めるのに対し、チンパンジーは7〜10%。
人間が現代まで生き延びてこれたのは、前頭葉の働きが優れているからと言われている。
では、具体的にどんな栄養が脳にとって必要なのか?出来るだけ分かりやすく簡潔に解説していきたいと思います。
●水分と血液
脳の栄養であるブドウ糖は血液に乗って脳に送り届けられる為、水分や血液量が十分でないと脳への供給に支障が生じて栄養不足に陥ってしまいます。
例えるなら、通り道で工事や事故、渋滞が起きていて移動に時間がかかってしまう状態です。
いつもなら30分で行ける道が1時間かかったらもどかしいですよね(笑)
その為、水分と血液の材料になる鉄分の十分な摂取が必要になります。
鉄分は、レバー、赤身肉、赤身魚などの動物性食品、ひじきやわかめ、切り干し大根、海苔、きなこ、ほうれん草などの植物性食品に多く含まれている。
植物性食品の鉄分は吸収率が低い為、キャベツ、ブロッコリー、小松菜、ピーマンなどのビタミンCの多い食品や肉や魚と一緒に食事で摂取すると吸収率がアップする。
●ビタミンB1
食事でブドウ糖を体の中に入れた後は、それをエネルギーに代える必要があります。これを代謝と呼びます。
例えるなら、楽器があっても演奏者がいないと音を奏でられない、つまりは楽器があっても意味がないという事です。脳に必要な栄養を摂取してもエネルギーに代えないと宝の持ち腐れになってしまうんですね( ̄▽ ̄;)
そして、この場合の演奏者の役割をするのがビタミンB1になります。
ビタミンB1は、糖質(ブドウ糖)をエネルギーに変換する役割があります。
その為、糖質と一緒に摂取する事で晴れて脳は必要な栄養を取り込む事ができるわけです。
豚肉(特にヒレやもも)や玄米、枝豆、豆腐に多く含まれている。
脳の栄養と食事「心は食事で出来ている!?」
ここまで脳の栄養源とそれをサポートする為の栄養について解説してきました。やっぱり食事って大切なんですよね(^^)
と、実はまだまだ脳にとって重要な栄養があるんです!
それが「神経伝達物質」
なんか小難しいワードが出てきましたが、あまり難しく考えなくて大丈夫!そのまんまの意味です(笑)
神経伝達物質とは、脳の中で情報が行き来する時に伝達役をしてくれる物質で、興奮や鎮静などの情報を伝えます。
分かりやすく言えば、伝言係みたいなものですかね。「Aさんに伝えてきて!」みたいな(笑)
で、脳の中で働く神経伝達物質には3種類あります。ここはざっと紹介しておきます。
- セロトニン:幸福感や不安軽減のなどポジティブな情報を伝える。また、ドーパミンとノルアドレナリンの働きを抑えて精神のバランスを取っている。
- ノルアドレナリン:活動、意欲、積極性など興奮的な情報を伝える。過剰になるとイライラや攻撃的になる。
- ドーパミン:快楽や意欲、食欲などモチベーションに関連した情報を伝える。依存性との関連も強い(ギャンブルなど)。
人が行動する為の原動力は「心」ですから、幸福や意欲を生み出す事は生きる為に必須です。
そしてこれらの神経伝達物質を作る為に食事が必須になるんです。つまり「心は食事でできている」と言っても過言ではない!!
その心を作る為の栄養がタンパク質です。
何故なら、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンいずれも必須アミノ酸というタンパク質を材料にして作られているからです!
しかも必須アミノ酸は体内で作る事ができない為、食事から摂取しなければならないんです。
では、それぞれどんな食事を取れば効率的に取り込む事ができるのか、紹介していきます。
ストレス緩和の「セロトニン」
セロトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸。
その効能はノルアドレナリンやドーパミンの働きを抑える事で
- 豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品
- チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
- 米などの穀類
- 卵
- バナナ
- 肉や魚
などの食品に含まれています。
肉や魚などの動物性タンパク質は、糖質・ビタミンB6(※)と一緒に摂るとトリプトファンの合成が促進される。
※ビタミンB6は、タンパク質の代謝を促進する栄養素。主に鮭やマグロ、カツオなどの魚、鳥ササミや豚ヒレなどの肉、バナナ、赤パプリカ、玄米などに多く含まれている。
主食、主菜、副菜のバランスの取れた食事が大切。
モチベーションアップの「ドーパミン・ノルアドレナリン」
ドーパミン・ノルアドレナリンはチロシンというアミノ酸で作られています。
- マグロやカツオなどの魚
- 大豆製品
- チーズ
- ナッツ類
などの食品に多く含まれています。効能は主にモチベーションを上げること!
気合を入れてバリバリ進んでいく為には欠かせない物質です(^^)
タンパク質は糖質と一緒に摂取する事で吸収率がアップする
神経伝達物質の生成をサポートする「ビタミン・ミネラル」
心を作る為の食事には、神経伝達物質の原料であるタンパク質の他に、その生成をサポートし脳内の正常な神経伝達を維持する為にビタミンとミネラルも重要なんです。
ミネラルでは、カルシウムやマグネシウム、銅が必要で、ビタミンではナイアシン、ビタミンB6、葉酸といった栄養が重要になります。
カルシウム
カルシウムは牛乳やチーズなどの乳製品、小魚や豆腐、納豆などの大豆製品、野菜や海藻類に含まれていて、特に牛乳に多く含まれています。
カルシウムはマグネシウムと一緒に摂る事で吸収率アップ!
マグネシウム
マグネシウムはアーモンドやピーナッツなどのナッツ類、魚介、海藻、大豆製品に多く含まれています。
カルシウムとマグネシウムは、共通して骨の形成にも関わっていて、一緒に摂る事で吸収率がアップするのでセットとして考えておくと良いですね(^^)
銅
銅は、レバーやカキ、するめ、大豆、ココアなどに多く含まれています。
銅はビタミンCや果糖と一緒に摂ると吸収率がアップするので、果物や野菜と一緒に摂るのがオススメです。
するめの栄養や効能に関してはこちらの記事で詳しく書いているので是非ともご覧ください。
ナイアシン
ナイアシンは、魚やレバー肉類に多く含まれています。
肉類には神経伝達物質を作る為のタンパク質も含まれている為、一石二鳥♪( ´▽`)
葉酸
葉酸は、ほうれん草や枝豆、パセリなどの野菜や鶏レバー、海苔などの海藻類、大豆製品や果物など幅広い食品に多く含まれています。
脂質も神経伝達物質の合成に関与している他、脳細胞を作る為にも必要となる栄養
受験生や勉強で脳を活性化させるオススメの食事と栄養
受験生に限らず、勉強をする時に重要になるのが記憶力や集中力ですよね。
それらの機能を高める為に重要になるのがオメガ3脂肪酸の一種である「EPA・DHA」と呼ばれる脂です。
主にアジ、イワシ、サンマ、サバなどの青魚に含まれています。また、エゴマ油やアマニ油は体内でEPA・DHAに変わるという特性がある為、これらを食事に取り入れる事も脳の機能を高める為にオススメです!
そして重要なのが、EPA・DHAといった栄養は体内で作る事ができない為、食事で摂らなければいけないという事!
つまり記憶力や集中力などの脳の働きを高める為には食事は必須というワケです。
EPA・DHAは熱に弱い為、青魚は刺身、エゴマ油やアマニ油はサラダや刺身にかけて食べるのがオススメ(^^)
魚が苦手な人や食事では中々あ俺らの栄養を摂取できないという方はサプリもオススメです。
まとめ
ここまで脳の栄養と食事について解説してきましたが、総じて言えるのはバランスの取れた食事が重要だという事!
脳に必要な栄養をざっとまとめると
- 脳が稼働する為の栄養は糖質(糖質が枯渇しても脂肪からエネルギーを作れる)
- 糖質を脳に送り届ける為に十分な水分と血液(鉄分)
- 糖質をエネルギーに変換する為のビタミンB1
- 脳内の情報伝達に重要な神経伝達物質を作るタンパク質・脂質
- 神経伝達物質の生成を支えるビタミンとミネラル
総じて言えるのは、食事もバランスが大事!
ということですね(^^)
主食・主菜・副菜のバランスを意識して食事をすれば、脳のパフォーマンスが上がって心の安定にも繋がります。
この記事があなたの健康維持の参考になれば幸いです(^^)
栄養補給にオススメなおからはこちらの記事で詳しく解説しています!