日本人の死因第2位である急性心筋梗塞を含む心疾患。
急性心筋梗塞は、高齢者に多い病気なのですが、近年では若年で発症する人も増えており、その原因の中の一つにストレスがあります。
ストレスが心臓にどのような影響を及ぼすのか?あまりピンときませんよね。
そこで今回は、若年での急性心筋梗塞の原因とストレスについて解説していきます。
目次
心臓の働き
心疾患の一種である急性心筋梗塞。
発症すると心臓にはどんな悪影響が及んでいるのでしょうか?
それを知るには、まず心臓の働きを知る必要があります!
私達が生きていられるのは、心臓が24時間365日休む事なく働き続けているからです。
その働きは、ポンプ作用で血液を全身に送り出し、脳や筋肉、内臓などが働く為に必要不可欠である栄養と酸素を供給しているんです!
自転車のタイヤに空気を入れるようなイメージですかね。
そして、脳や筋肉と同様に心臓が働く上でも酸素や栄養を必要とします。
その酸素や栄養を蓄えた血液を心臓に供給するのが、心臓の周りを取り囲んでいる「冠動脈」と呼ばれる血管です。
急性心筋梗塞とは?
この冠動脈が動脈硬化によって硬く狭くなると、心筋梗塞のリスクが高まります。
動脈硬化とは、血管の中に悪玉コレステロールが溜まってゴミ山のようなコブを作り、血管内を狭くしてしまう状態のことです。
また、血管の弾力が失われて硬くなります。
この動脈硬化によって冠動脈に異常を来し、心臓への血液供給が少なくなるのが「狭心症」、完全に塞がるのが「心筋梗塞」です。
狭心症は心筋梗塞の前段階的な状態でもあります。
症状は、胸の痛みや絞めつけ感、冷や汗などを伴いますが、数分〜15分ほどで治ります。
心筋梗塞は、心臓への血液供給が完全に断たれた状態です。
症状は、胸の痛みや絞めつけ感冷や汗が30分以上続き、重症の場合はショックや意識を失う事もあり、最悪の場合は心臓が動かなくなり死に至る事もある病気です。
「日本生活習慣病予防協会」の調査によると、急性心筋梗塞患者を発症した人のうち、14%が病院に搬送される前に死亡しているとの報告があります。
更に、日本人の死因の第2位が急性心筋梗塞を含む心臓の病気であり、いかに怖い病気なのかが分かりますよね?
そして、発生から3日もしくは2週間以内の心筋梗塞を急性心筋梗塞と呼びます。
つまり、心筋梗塞を発症したすぐ後のことですね。
急性心筋梗塞の原因は動脈硬化
一般的に急性心筋梗塞は、60歳以降の高齢者にみられやすく、その原因の多くが動脈硬化です。
皆さんは血管年齢という言葉を聞いたことがありますか?
血管も年齢とともに衰えて弾力を失い、動脈硬化に発展しやすくなります。
「じゃあ若年である若者は関係ないね(^^♪」
と思いますよね?
ところがそうでもないんです!
厚生労働省の調査によると、平成26年に急性心筋梗塞や狭心症を発症した若年(15〜44歳)の人は、約163万人にものぼります!
また、2013年には女優で元宝塚の天海祐希さん(当時45歳)が急性心筋梗塞を発症した事でも若年性の心筋梗塞が話題となりました。
若年でも起こる急性心筋梗塞ですが、動脈硬化を引き起こす原因は加齢以外にも様々です。
- 高血圧
- 喫煙
- 運動不足
- 肥満
- 糖尿病
- 高コレステロール血症
- ストレス
若年の急性心筋梗塞(動脈硬化)は何が原因?
高齢者に多い心筋梗塞ですが、若年の急性心筋梗塞の原因は何が問題となるのでしょうか?
大阪府内科医会副会長で泉岡医院院長・内科医の泉岡利於(いずおか・としお)先生によると、若年で急性心筋梗塞を発症する原因の多くが
糖尿病
脂質異常症
喫煙
が関係しているとの事です。
これらが影響して動脈硬化を引き起こし、結果として急性心筋梗塞を発症するリスクが高まってしまいます。
更に、糖尿病と脂質異常症を起こす原因には、過食や運動不足、喫煙が関係しているなど、急性心筋梗塞に関連する病気や症状のほとんどに生活習慣が関わってきます。
また、今回のテーマでもあるストレスも急性心筋梗塞を引き起こす原因になり得るんてす!
ストレスと急性心筋梗塞
ストレスが心臓の病気である急性心筋梗塞にどう影響するのでしょうか?
あまりイメージが湧かないと思うので、この辺りも噛み砕いて解説していきますね。
ストレスによる2つの悪影響
精神的・身体的なストレスが蓄積すると、急性心筋梗塞のリスクを高める2つの問題が身体に生じます!
1つ目は、血液中の悪玉コレステロールの増加です。
ストレスによって血液中に過剰に悪玉コレステロールが溜まると、ゴミの山を作ってしまい動脈硬化になりやすくなってしまいます。
2つ目は、交感神経が優位になることです。
交感神経は自律神経の一種で、リラックス神経である副交感神経とは対照的に、活動時に優位になる興奮神経です。
交感神経と副交感神経は、シーソーのような関係で、どちらか一方が優位になれば、もう片方の神経は抑制されます。
ストレスによって交感神経が優位になると、リラックスする神経である副交感神経の活動は抑えられ、身体は常にある種の興奮状態になります。
そして、交感神経には血圧を上げる作用があるんです!
つまり、ストレスが蓄積していくと血圧が上がり、血管に負担をかけて動脈硬化の要因となって急性心筋梗塞の引き金となるんです!
急性心筋梗塞になりやすいストレスがある!?
ここまでストレスが急性心筋梗塞の要因になり得ると解説をしてきましたが、実は急性心筋梗塞を発症しやすいストレスがあるんです!
- 一度に多くの事をやろうとする、常に動いているなど仕事熱心過ぎる人
- イライラしやすく、それが言動に現れやすい人
- 異様に早口でしゃべる人
- 早食いの人
これらに該当する人は、知らず知らずのうちにストレスが蓄積し、急性心筋梗塞を起こしやすい為、注意が必要です。
若年とストレス
若年の急性心筋梗塞の原因に多い糖尿病、脂質異常症、喫煙。
これらを引き起こすストレス。
近年、問題になっている過酷労働ですが、ある調査では2010年からの5年間で労災認定された過労死した人の約44%を若年である20~30代が占めていたとの事です。
それだけ今の若年者の労働環境におけるストレスが過剰であるという事ですね。
そして怖いのは、自分でも気づかないうちに動脈硬化が進行して急性心筋梗塞を起こしてしまう事です。
急性心筋梗塞は高齢者だけの問題ではなく、若年である若者も注意をしなければいけない深刻な病気である事を分かってもらえましたか?
前段階である狭心症の症状が現れたら、要注意です!!
まとめ
60代以降の高齢者に多い急性心筋梗塞ですが、近年では若年である20~40代の発症も増えています。
若年での発症の原因には、脂質異常症や糖尿病、喫煙が多く、更にそれらを引き起こす原因ともなっているのがストレスです。
ストレスが溜まっていくと、悪玉コレステロールの増加や交感神経が優位になる事で血管に負担がかかり、動脈硬化を引き起こして急性心筋梗塞へと発展していきます。
また、近年は若年である20~30代の過労死が増えているなど、深刻なストレス社会となっているのが現状です。
自分の身体を守る為にも、今一度生活を見直してストレスを軽減する事も考えましょう。
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