成人の3人に1人が高血圧と言われ、比例して血圧の薬を服用している人も多くなっています。
血圧の薬の中には、食べ合わせで注意をしなければいけない物がありますが、納豆はどうでしょうか?
実は納豆と血圧の薬にも重要な関連があるんです。
納豆は私達日本人の食卓に良く並ぶ食品でもありますから、しっかりと理解しておきましょう!
目次
納豆と血圧の薬の相性について
今回の記事では、納豆と血圧の薬の関連性について解説していきたいと思います。
成人の3人に1人が高血圧(135/85mmHg以上(※2019.12.27時点))に該当すると言われています。
それだけ血圧の薬を服用している人も多いという事になります。
僕は多くの方のリハビリを担当しているのですが、およそ9割近くの利用者さんが血圧の薬を服用しています。
というか健常者である職場の先輩や親も服用しているので、とても身近な薬でもありますね。
そして同じく私たち日本人に身近な食品である納豆。
実は両者には注意しなければいけない特性があります。
結論から言えば、血圧の薬の一部には納豆との併用が禁忌になっているものがあるので注意が必要なんです!
詳しく解説していきますね。
納豆との相性が悪い血圧の薬がある
血圧の薬にも様々な種類のものがあります。
「血管に作用して血圧を下げるもの」や「血液の性状に作用して血液をサラサラにするもの」など、高血圧になるメカニズムによって血圧の薬も使い分けられます。
中でも納豆との相性が悪いのは血液の性状に作用するタイプの「ワルファリン」という薬。
主に心筋梗塞や脳塞栓(心臓で出来た血塊が脳血管に流れて詰まらせる)の治療や予防として使われる薬です。
その作用は、血管内で血液が固まるのを抑えて血液をサラサラにする強い作用があります。
これにより、血管内で血液が固まるのを防ぐ他、血液の流れがよくなるので血圧へも影響します。
また、ワルファリンはその作用から「ビタミンK拮抗薬」とも呼ばれています。
対して納豆にはビタミンKという栄養素が豊富に含まれています。
- 納豆(ビタミンK豊富)=血液固めて出血を止める(止血作用)
- ワルファリン(ビタミンK拮抗薬)=血液をサラサラにする
正反対の作用ですよね?
従って、血液をサラサラにするタイプの納豆が薬の作用を阻害してしまう為、これらの飲み合わせはNGとなります。
下痢止めと便秘薬を同時に飲むようなものですね(笑)
また、ワルファリンを服用している場合、納豆の他にもビタミンKを豊富に含む食材は避けたほうが良いです。
ビタミンKを豊富に含む食材に関しては後述します。
みやっちがリハビリを担当している利用者さんでもワルファリンを処方されていた方は多く、習慣的に納豆を食べていた方は家族や医師にきつく止められていました。
食べたい物が食べられないというのは、やはり辛いものがありますね。
血液をサラサラにする薬には、血栓ができるメカニズムによって大きく2種類ある。
- 脳血管をサラサラにするもの(抗血小板薬)
- 心臓周辺の血管をサラサラにするもの(抗凝固薬)
ワルファリンは後者に属する。
納豆が食べられるサラサラ薬はある?
では、血液サラサラ薬を飲んでいる人は一生、納豆が食べられないのか?
というと実はそうでもないんです。
2011年以降には、納豆を併用して食べても支障のない血液をサラサラにする薬も日本で使用できるようになってきています。
ひと昔前のように、血圧の薬を飲んでいるから納豆が食べられない!
というストレスはかなり解消されてきているのかもしれないですね。
納豆と血管に関与する血圧の薬は問題ない
ワルファリンが納豆との相性がよくないと先述しましたが、血管に作用する血圧の薬(降圧剤)であれば、納豆を食べても問題ありません。
直接的に血管に作用する血圧の薬に関してはこちらで解説しています。
むしろ高血圧に納豆は効果的で、血圧を下げる効果が期待できます。
納豆には血液をサラサラにし、血管の弾力性を保つ作用がある為、降圧効果が期待できます。
納豆の効果については以下で詳しく解説していきます。
高血圧対策に優秀な納豆の作用
ビタミンK
ビタミンKは、脂溶性ビタミン(油脂に溶けるビタミン)の一つです。
天然のビタミンKは、ビタミンK1(フィロキノン)とビタミンK2(メラキノン)の2種類あります。
フィロキノンは、植物性の食材に含まれるビタミンKで
- ほうれん草
- ブロッコリー
- キャベツ
- トマト
- わかめ
など、緑黄色野菜や海藻類の他、緑茶や食物油に多く含まれています。
メナキノンは更に、メナキノン-4とメナキノン-7の2種類あります。
メナキノン-4は動物性食品に含まれているビタミンKで
- チーズ
- 卵
- 肉類
に多く含まれています。
メナキノン-7は、納豆菌によって産生され、納豆に含まれます。
これら全てを総称して、ビタミンKと呼びます。
ビタミンKの働きには、以下の作用があります。
- 出血した際に、血液を固まりやすくする(止血作用)
- 血管が硬くなるのを防ぐ
- 骨を丈夫にする
ナットウキナーゼ
ナットウキナーゼは、納豆を作る過程でできる納豆にしかない成分です!
その作用は、血栓を溶かし、また血栓を溶けにくくする物質を分解する事によって血液をサラサラにし、動脈硬化を防ぎ、脳卒中や心筋梗塞など血管系の病気の予防に効果があります。
納豆にしかないナットウキナーゼですが、最近ではサプリとして摂取できる為、納豆が苦手な人でもナットウキナーゼを摂取できます!
イソフラボン
イソフラボンとは、納豆の大豆の胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種です。
その作用は、女性ホルモン(エストロゲン)と同じ働きをする性質があります。
エストロゲンには
- 骨の形成を促す
- 血管の収縮を抑える
- 自律神経や感情の動きを整える
などの働きがあります。(他にも、女性らしい体を作る、妊娠・出産を助ける働きがあります。)
この作用により、更年期障害や骨粗鬆症の予防の効果があります。また、抗酸化作用といってシミやしわの形成など、老化を防止する強い作用もあります。
レシチン
レシチンは、私達の体を構成している細胞の必ず存在しています。
細胞は、毎日生まれ変わっているのですが、これを可能にしているのがレシチンで、その働きは細胞に必要な栄養や酸素を取り込み、不要な物質を排出しています。
レシチンの効果としては
- コレステロールを下げて血管が硬くなる動脈硬化を予防
- 脳の活性化を促す事で、記憶力の増大と認知症予防
- 肌細胞を正常に保ち、シミ、そばかすを防ぐ
- 脂質のコントロールを促す事で、ダイエット効果
などに効果があります。
納豆には他にもこんな作用が!
- 筋肉や髪、皮膚を健康に保つ
- エネルギー代謝のサポート
- 貧血予防
- 老化防止
- コレステロール、中性脂肪の値を下げて血圧を下げる
など、実に様々な作用があります。
納豆が体に良いと言われるわけですね!
夜納豆が良いは迷信ではなかった!?
「夜に納豆を食べると良い」
なんて事を聞いたことありませんか?
私も理由は分からず、そんな事を意識してして夜納豆を食していました。
ですが、これにもちゃんとした理由があります!
血栓や塞栓は、血流が穏やかになり水分が不足する就寝時に起こりやすくなります。
ナットウキナーゼは食後4〜8時間で活発に働く為、夜に食べる事で血栓、塞栓予防に働きやすくなります!
特に以下に該当する方は、夜納豆はおススメです!
- 40代以上の方
- 血圧が高い方
- 高脂血症や糖尿病を患っている方
これは完全に個人的な意見ですが、納豆は夜食べたほうが美味い!
と思うんですが、皆さんはどうでしょうか(笑)?
まとめ
今回のテーマをまとめると
「直接的に血圧を下げる薬と納豆はOKだけど、血液をサラサラにするタイプの血圧の薬と納豆はNG」
という結論になります!
また、納豆だけでなく先述したビタミンKを多く含む食材に関しても控える必要があります。
他にも血圧の薬との相性で注意しなければいけないものもあるので、お医者さんに注意点をしっかり確認する事が大切ですね。
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