今や成人の3人に1人が高血圧と言われている昨今、それに比例して血圧の薬を飲んでいるという人も多くなっています。
また、認知症も年々増加傾向にあります。
血圧の薬は脳への影響も大きい為、脳の異変で生じる認知症との関連性も深いのかも!?
そこで今回は、血圧の薬と認知症との関連性について解説します!
目次
血圧の薬が直接的に認知症に影響するという根拠はない
今回は血圧の薬と認知症との関係性について話を進めていきますが、結論から言ってしまうと、血圧の薬と認知症に直接的な関連性はありません!
現状、まだ研究や議論が続けられている状況でもあり、これらを結びつけるようなデータが取れていなんですね。
なので「血圧の薬が認知症のリスクを高める」とか「血圧の薬で認知症を予防できる」といった根拠はないというのが、答えになってしまいます。
今後の研究で明らかにしていってほしいところですね。
ただ、血圧の薬を服用して高血圧の治療を行う事で、実は間接的には認知症を予防できるんです!
血圧の薬で間接的に認知症を予防できる
血圧の薬が間接的に認知症を予防できる根拠には、認知症を起こす原因にあります。
認知症の原因は、大きく2つあります。
- 脳血管の障害によって発症する「脳卒中による認知症」
- 脳の萎縮によって発症する「神経変性による認知症」
神経変性による認知症とは、アルツハイマー型認知症など明確なきっかけなしに起こる認知症のことです。
脳卒中は高血圧が起因して発症する病気であり、これに関連して認知症を発症するケースが多いんです。
つまり二次的に認知症を発症してしまうという事ですね。
その為、血圧の薬を服用して脳卒中を予防することで、二次的に認知症の予防にも繋がるというわけです!
脳卒中の予防には、運動をして根幹となる部分から改善していくことが重要です。詳しくはこちらの記事で解説しています。
脳卒中による認知症は若い世代に特に多い
「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」より抜粋
高齢者の4人に1人が認知症と言われている今の時代ですが、脳血管性の認知症に関しては若年層(65歳以下)で特に多くなっています。
上のグラフを見て頂くと分かるように、若年層の認知症の4割近くが脳血管性の認知症であり、その他アルコール性や外傷性など若年性の認知症の原因は実に多様なものがあります。
みやっちがこれまでリハビリで担当してきた利用者にも、40代〜50代で脳卒中を発症した方が何名かおられました。
物忘れの他、「怒りっぽい」「意欲が低下してやる気が出ない」といった症状が現れている方も多かったですね。
また、高次脳機能障害といって麻痺とは関係なく以下のような症状が現れる場合もあります。
- 言葉を話せない
- 字が書けない・読めない
- 服の着方が分からない
- 道具の使い方が分からない
これらは、第三者にはそれが病気によるものだと認識されにくい傾向があります。
周囲からの理解が得られにくかったり、他者とのコミュニケーションに支障が出たりと、生きにくさを感じて多大なストレスを感じている人も多いです。
実際、それで夫婦間の関係性に亀裂が生じた方もおられました。
だからこそ、血圧の薬で脳卒中のリスクを軽減させる事が非常に重要となります!
もちろん薬だけでは根本的な解決にはならない為、併せて生活習慣の改善を図ることは欠かせないですね。
こちらの記事で食生活の改善について詳しく書いていますので、参考にして下さい。
血圧の下がり過ぎは認知症のリスク!?
先述したように、血圧の薬が認知症を招く直接の根拠はありませんが、場合によってはリスクが増す可能性はあります。
それは、過度な血圧の下降です!
薬が効きすぎる事によって血圧が下がりすぎると、脳への血液供給が乏しくなります。
これにより、神経細胞が減少して脳が衰えやすくなり、認知症のリスクを高めてしまう可能性が出てきてしまうというわけです。
ただし、血圧をコントロールしないと脳卒中のリスクは確実に高くなりますから、血圧の薬を服用する必要性はあります。
大切なのは、薬と並行して生活習慣の改善を意識する事!
そして、定期的な受診をして体調のチェックを怠らないことです。
特に血管や血流に直接関与する運動は重要で、運動をきっかけに脳が活性化すると、認知症のリスク軽減にも繋がります!
実際、入院を機に認知症の症状が悪化するというケースは多いです。
以前みやっちが担当していた90代の利用者さんは、肺炎で入院してから認知症が急激に進行し、在宅復帰が困難となってサービスが終了してしまいました…。
それだけ、脳は刺激を欲しているという事にもなりますね。
そもそも、血圧の薬はあくまで無理矢理に血圧を下げているに過ぎない為、根本的な原因の治療にはなりません。
例えば、カロリーの過剰摂取で血圧が上がっているとします。
血圧の薬を飲めば血圧は下がるかもしれませんが、食生活を改めて根本的な原因を解決しない限り高血圧は治らないという事です。
そして、一生血圧の薬を飲まないといけなくなる上に、認知症のリスクが高くなります!
高血圧の原因は90%近くが生活習慣だと言われている為、自分で行動を起こし、薬に頼らないで血圧を下げる事が認知症・脳卒中のリスクを減らす最善の方法です!
リスクを減らすには、努力あるのみです!
詳しくはこちらの記事をチェックしてみて下さい。
認知症は右肩上がりで増えている!
厚生労働省の調査(平成24年)によると、後期高齢者に分類される65歳以上の高齢者のうち、約15%にあたる約462万人の人が認知症を発症しているとの調査結果が出ています。
また、将来認知症を発症するリスクの高い認知症予備軍の人は、約400万人いると推計されています。
認知症予備軍は、「最近物忘れが多くなったな」と感じるレベルで、日常生活には支障のない状態の事です。
これを聞くとちょっとドキッとしますね。みやっちの母も口癖のように「忘れっぽくなったから、認知症かもしれない。」としょっちゅうぼやいているので(笑)
そして、認知症の人と予備軍の人を合わせると、約862万人になります。
65歳以上の高齢者は、平成24年の時点で3,079万人いると推計されており、実に約4人に1人が認知症に関連している状態になっている計算になります!
また、2025年の認知症患者は現在の1,5倍に増えると予想されているなど、ますます深刻な問題となっていきます。
まとめ
血圧の薬が認知症リスクの増減に関与するという明確な研究結果やデータはありません。
ですが、脳卒中によって認知症を発症するケースも多い為、血圧の薬で血圧をコントロールする事は二次的に認知症の予防に働きます。
ですが!
血圧の薬だけでは根本的な解決にはならない為、並行して運動や食生活を整えるなど、生活習慣の改善を図る事は必須です!
認知症は一度起きてしまうと元に戻ることはありません。
後悔しない為にも、できることをできるうちに行なっていきましょう!
こちらの記事もご覧ください。