降圧剤は血圧の値を下げてくれますが、数値が下がって安心していませんか?
降圧剤にも様々な副作用がありますが、中でも注意をしたいのが「めまい・眠気」です。
日常的な症状でもある事から軽視しがちですが、放置すると大怪我に繋がる可能性もあります。
今回は、降圧剤の副作用で眠気とめまいが起きる理由とその危険性について解説します!
目次
降圧剤の副作用でめまい・眠気が起きたら血圧が下がり過ぎてる!?
慢性的な高血圧の方であれば、ほとんどの方が服用しているであろう降圧剤。
日本の高血圧の患者数は約4300人もいると言われており、そのうち約2000万人以上が降圧剤を服用しているそうです。
70歳以上の方では、なんと2人に1人は降圧剤を服用しているとの事!
実際、僕がリハビリを担当している方の8〜9割の人が降圧剤を服用しています。
それくらい降圧剤は身近にある薬なのですが、当然副作用というリスクがあるのも事実。
降圧剤の副作用には様々な症状があるのですが、中にはめまい・眠気が生じることがあります。
その理由は、降圧剤の作用が強く低血圧になっていることが考えられます。
血圧とは、血液が血管の中を流れる時に血管にかかる圧の事ですが、低血圧の場合は血液の流れが弱くなっている状態です。
すると、脳に送られる血液量が減って脳は酸欠状態になります。
血液は、脳がエネルギー源としている酸素を運んでいますから、酸欠になると脳が正常に機能しなくなり、めまいや眠気が生じる事があります。
従って、降圧剤を服用して急激に血圧が下がった場合、副作用としてめまいや眠気が現れる可能性があるというわけです。
その場合、処方された降圧剤が体に合っていない可能性もある為、一度医師に相談する事をおすすめします。
高血圧に伴うめまいの対処法について、こちらの記事で詳しく解説しています。
見過ごしやすい降圧剤の副作用「めまい・眠気」
降圧剤の副作用は様々ですが、今回のテーマであるめまい・眠気には注意が必要です。
動機や浮腫など明らかに異常を感じるような症状であれば、副作用としての意識が向きやすいですが、めまいや眠気のように日常でも起こりやすい症状は軽視されがちです。
ですが、それを放置しておくと思わぬ大怪我に繋がる事もあるんです。
その理由は、転倒に繋がる可能性があるから!
血圧は、起き上がりや立ち上がりなど急な姿勢変換を行った時に急激に下がる事がありますが、血管が正常であれば血圧を自動的に調整するシステムが働き、急激な変動を防いでくれます。
ですが、慢性的な高血圧で血管が衰えている場合、この自動調整システムがうまく機能せず、動作変換時の起立性低血圧を招きます。
降圧剤の副作用で血圧が下がり過ぎて起立性低血圧を起こした場合、ふらついて転倒に繋がる可能性があります。
最悪の場合は、意識を失う事も。
意識がある場合のふらつきであれば、手をついて転倒を防止できたり、万が一転倒してもうまく受け身を取って衝撃を緩和できる可能性もあります。
しかし、意識を失ってしまうと頭や股関節を地面に強打して、脳の損傷や股関節の骨折など重大な怪我となってしまうかもしれません。
また、車の運転中にめまいや眠気が襲ってきたら、事故に繋がる可能性も十分にあります。
その為、降圧剤を服用してからめまいや眠気が生じたら軽視せず、医師に相談することが大切です。
副作用でめまい・眠気が起こる降圧剤
降圧剤も種類が様々で、特にめまいが生じやすい降圧剤があります。
降圧剤とめまい
先述したように、降圧剤の副作用でめまいが生じる理由は、血圧の過度な低下により、脳に必要な血液量が不足する為です。
中でも副作用でめまいが生じやすい降圧剤は
- 利尿剤:尿の排出とともに塩分の排出も促して血圧を下げる降圧剤
- ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬):血圧を上げる物質の働きを抑える降圧剤
- α遮断薬:交感神経の働きを抑えて血管の収縮も抑えて血圧を下げる降圧剤
があります。
降圧剤と眠気
降圧剤の副作用により眠気が起きる原因もやはり先述した脳への血液量減少です。
脳が働く為には、血液によって運ばれる酸素と糖が必要になります。
しかし、血圧が下がり過ぎると、それらの脳への栄養供給のスピードが遅くなり、脳の働きに供給が追いつかなくなる為、脳の働きが低下して眠気を伴います。
脳は体全体が必要とする酸素の3割近くを消費し、5分間の無酸素状態で植物状態か脳死になってしまうほど、酸素欠乏に弱い器官です。
ですから、酸素不足は脳の働きを極端に落としてしまいます。
その結果として、眠気が生じてきます。
降圧効果によって。どの降圧剤でも眠気が起きる可能性はありますが、中でも生じやすいのが交感神経の働きを抑える降圧剤です。
交感神経と副交感神経は、シーソーのように拮抗関係にある為、交感神経を抑える事で副交感神経が活発になります。
副交感神経はリラックス作用がある為、これにより眠気の副作用を伴う場合があります。
交感神経の抑制に作用する降圧剤は
- α遮断薬
- β遮断薬
があります。
降圧剤の種類については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にして下さい。
降圧剤を飲み続ける2つの危険!?
降圧剤は血圧の値を下げる事で、結果として脳卒中や心筋梗塞などの病気のリスクを軽減する効果があります。
ですが、降圧剤を飲み続ける事での危険性がそこには潜んでいます。
血管は硬いまま
実は降圧剤で血圧を下げても、それで「元々血圧の安定している人」と同等まで脳卒中などの病気のリスクが下がるわけではありません!
その理由は、降圧剤による効果は根本的な原因の解決にはなっていないからです。
例えば降圧剤の服用で降圧効果があったとします。
しかし、動脈硬化によって血管の柔軟性が失われていると、圧受容器が正常に働かなくなり、血圧の調整がうまくできない状態にあります。
その状態で降圧剤を服用し、他に何も対策をしていなかったとしたらどうでしょう?
降圧効果に加えて圧受容器がうまく機能しない事で、立ち上がりなどの動作時に低血圧になりやすくなり、結果的に副作用を助長してめまいが生じやすくなります。
つまり、降圧剤の服用と並行して自力で血圧を下げる努力をしないと副作用のリスクが高まってしまいますし、場合によっては血管が詰まって脳梗塞を発症してしまうかもしれません!
加齢とともに副作用のリスクが上がる!?
高血圧の要因と言われている心肺機能の低下や血管の柔軟性低下は加齢とともに必然的に起こります。
その為、降圧剤を服用し続けると、始めのうちは問題なくても加齢とともに副作用が顕在化する可能性が十分にあります。
ですから、降圧剤に頼り過ぎず、食生活の改善や運動習慣をつけるなど、自力で自分の体をケアする事が大切です。
薬の効果は一定でも体は衰えていくんですから、副作用が表立ってくるのは当然ですよね?
まとめ
降圧剤の副作用で「めまい・眠気」が生じる理由は、血圧が下がりすぎてしまい脳が虚血状態になる為です。
めまいは血流量の低下や低血圧により血管の調整機能がうまく作動しなくなる事で、脳の虚血を引き起こし、起立性低血圧を起こします。
眠気は脳の虚血状態により栄養や酸素が不足する事で生じます。
また、α遮断薬とβ遮断薬には、交感神経の働きを抑えてる作用がありますが、これによって副交感神経の働きが優位になりすぎる事で眠気が生じる場合もあります。
降圧剤は、降圧作用によって高血圧の改善に作用はしますが、高血圧の原因の解決にはなりません。また、血管が弱っている状態のまま降圧剤を服用し続けると、より体への負担が増してしまいます。
ですから、降圧剤と並行して自力で自分の体をケアする事が大切です。
今回は降圧剤の副作用に伴うめまいや眠気について解説しましたが、高血圧そのものでもめまいが生じることがあります。
その理由をこちらの記事で解説していますので、目を通してみて下さい。