高血圧は運動不足が大きく影響している為、改善を図る上で運動は欠かせません。
ですが、高血圧の方が運動をする際、やり方によっては返ってリスクが増してしまう場合があるので注意が必要です。
そこで今回は、高血圧の方が運動を行う際の注意点を5つ紹介していきます!
目次
高血圧の人が運動をする時のリスクを回避する5つの注意点
高血圧は、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めて、ある日突然発症する怖い病気です。
その高血圧の改善に運動は重要なのですが、方法によっては体に負担を欠けて脳卒中や心筋梗塞などの発症のリスクを高める危険性があります。
そこで今回は、そのリスクを回避する為の5つの注意点をお伝えしていきます。
【注意点1】無酸素運動は避ける
無酸素運動は、文字通り酸素を必要としない運動で、ダンベルやスクワットなど、いわゆる筋トレと呼んでいる運動です。
無酸素運動である筋トレは、体への負荷量が高く血圧が急上昇する為、高血圧の状態で筋トレを行うと
「ブチッ」
と血管が切れてしまうリスクがあります。
高血圧の人が運動を始める際の注意点として重要となります。
僕が仕事でお客さんのリハビリをする際、皆さんの認識で共通しているのは、ガツガツ筋トレをした方が良いと思っている事。
確かに筋トレも大事なのですが、高血圧の状態で取り組むには不向きな運動である為、注意が必要になります。
【注意点2】運動前後のストレッチを怠らない
運動の前後でのストレッチを怠らないことも重要な注意点です。
身体の筋肉が硬いままの状態では、同時に血管も硬くなっている可能性がある為、その状態では血液循環が悪くなっています。
その為、血圧が上がりやすくなって高血圧になるリスクを高める恐れがあります。
また、運動後の整理運動は身体をリラックスさせ、筋肉を休めるためには大切です。
リラックスをすると、血管が拡がって血圧は下がるので、高血圧のリスクを減らす事に繋がります。
活動と休息のバランスを取る事は、高血圧の予防・改善には重要ですので、運動を行う場合は注意しましょう。
【注意点3】水分補給
運動をすれば、当然汗をかきますね?
体内の水分が減れば、血液はドロドロの状態になる為、高血圧を助長してしまいます。
それに、脱水症状にもなりやすいですから、水分補給も様々なリスクを減らすためには大切です!
実際、僕がリハビリを担当しているお客さんの中でも水分摂取が少ない人は多いです。
高血圧のリスクを低くする為にも水分摂取を意識することは非常に重要な注意点となります。
ちなみに、オススメの飲み物は「水やスポーツドリンク」です。
【注意点4】運動前後の血圧測定
運動の前後で血圧を測定して、運動が自分の血圧にどう影響したのかを確認することも重要です!
高血圧の方の場合、血液循環が悪くなっている状態です。
有酸素運動にしても過度な運動は心臓や血管に負担をかけて高血圧のリスクを高める可能性が十分あります。
ですので、運動の前後での血圧の変動を確認し、負担がかかり過ぎていないか確認をすることも大切です。
これも重要な注意点です。
【注意点5】体調が悪くなったら即中止
高血圧は自覚症状が少ないですが、運動中に頭痛や吐き気、胸痛、息苦しさなどの異変を感じたら、病院で医師の診察を受けた方が良いです。
これを放置すると、後々の病気のリスクを高めてしまうかもしれませんので、異変を感じたらすぐに受診するべきです。
と、ここまで運動をする際に高血圧のリスクを高める5つの注意点に触れてきましたが、慢性的な高血圧の方はまず医師に相談する事をオススメします。
その上で運動を組み合わせていくと事で、よりリスクを回避できると思います。
血圧の数値に関してはこちらの記事でも詳しく解説しているので、参考にして下さい
高血圧が及ぼすリスク
では、高血圧になると具体的にどんなリスクがあるのでしょうか?
例えば血圧が120/80mmHg以下の人が脳卒中になるリスクを「1」とすると
130〜139/85〜89mmHgの人で、約1,7倍
高血圧の人(140/80mmHg以上)では、約3,3倍
更に!
180/110mmHg以上の高血圧になってしまうと、脳卒中を発症するリスクは約8,5倍まで高くなると言われています!
また、「高血圧ガイドライン 2014年版」では以下のように書かれています。
・高血圧に起因する死亡者数は年間約10万人と推定される
・心血管病(脳卒中や心疾患)死亡の約50%、脳卒中罹患の約50%以上が、至適血圧(120/80mmHg)を超える血圧高値に起因するものと推定される
脳卒中に関しては、寝たきりになる病気第1位とも言われています。
血圧は身体の状態を教えてくれるバロメーターになりますので、しっかりと把握しておくことが大切です。
高血圧は、血管内で血液が噴射している!?
血圧は、血液が血管内を通る時に血管にかかる圧力の事です。
血液は心臓から送り出されていくのですが、
心臓がギュッと縮むと、血液が押し出されて勢いよく血管の中を流れていきます。
これが「収縮期血圧」です。
その後、縮んだ心臓はスッと力が抜けたように元の大きさまで拡がります。
血液はこの時も血管の中を流れるのですが、ここで流れる血液はとても緩やかになります。
これが「拡張期血圧」です。
一般的には
「140/90mmHg以上」
日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」より
であれば、高血圧という事になります。
血圧の単位には「mmHg」が使われるのですが、Hgというのは、「水銀」の元素記号の事を指します。
今でこそデジタルの血圧計が増えましたが、元祖は水銀で測る血圧計です!
例えば140mmHgの高血圧の場合、水銀の柱を14㎝押し上げる力がある事を表します。
水銀は水より13倍も重い為、140mmHgの人は、水で測れば2m近く噴き上げる程の強い力で血液を押し出しているという事になります。
そんな力が細い血管内で暴れ続ければ、破れる事があっても不思議ではないですよね。
まさに、リスクを常に背負っている状態です!
ただ、軽い運動の時には血圧の上昇は低くく抑えられる為、リスクは低くなります。
更に運動をした後は降圧効果がある為、高血圧の改善には効果的です!
運動と降圧の関係については、こちらの記事で詳しく書いていますので、一度ご覧になって下さい。
下がった降圧目標
2019年に発表された高血圧ガイドライン(リンクは関連記事)では、降圧目標が引き下げられました。
国をあげて高血圧の改善を推進していきたいという表れでしょうね。
あくまでも目安ですが、数値をみながら運動をする事で視覚的に把握しやすいので、こまめな血圧測定はやはり大切ですね。
高血圧の原因の大多数が生活習慣!?
高血圧は、原因によって2種類に分けられますが、8割以上が「本態性高血圧」と言われており
- 食事バランスの偏り
- 運動不足
- 喫煙
- ストレス
などの生活習慣が影響していると言われています。
本態性高血圧は高血圧の8割以上を占めるわけですから、もうほぼ自分で高血圧を引き起こしちゃってるわけです!
僕は仕事上、利用者さんの家を訪問してリハビリを行っているのですが、大半の方は血圧の薬を飲んでいます。
また、脳卒中を発症した人達に病前の生活習慣を聞くと、ほとんどの人が乱れた食生活や睡眠、喫煙をしていた人が多いです。
やっぱり生活習慣の影響は大きいんじゃないかと考えざるを得ません!
ちなみに、2種類の高血圧のうち、もう1つは「二次性高血圧」で、これは病気が元で起こる高血圧です。
基本的には、病院で検査を受けて二次性高血圧に該当しなかった場合は、本態性高血圧に分類されます。
二次性高血圧についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
運動をしないリスク
最後に注意点というか、僕がリハビリの仕事で様々な利用者さんを見てきた体験談をお話しします。
脳卒中や心筋梗塞などを発症した事のある人で運動習慣のあった人は、半分以下です。
運動をしないと、筋力が衰えるのは当然ですが、一番のリスクは心肺機能の低下だと感じています。
心肺機能とは、簡単に説明すると肺と心臓による酸素の運搬と排出の機能を指します。
この心肺機能が低下すると、酸不足している酸素を取り込もうと心臓が頑張って働き、結果として高血圧を招くことになります。
その為、高血圧の改善には、運動とりわけ有酸素運動が重要なんです。
そして運動は継続が重要なのは言うまでもありませんが、この継続が中々出来ていない方が利用さんに多く見受けられます。
そして、衰えた心肺機能を向上させていく以上に、運動習慣をつけていく事の方が難しいと感じています。
実際、脳卒中などで後遺症が残ると、それだけで意欲も低くなるし、できる運動も制限されてしまいます。
もちろん、中には運動をしていた方もおられるのですが、食生活が乱れていたり、喫煙をしていたりと病気のリスクを高めていた方が大半を占めます。
まとめ
高血圧は、血管の中で血液が勢いよく噴射しているような状態です。
その為、高負荷の運動は、血圧が急激に上がり、血管が破れたり(脳出血)、詰まる(脳梗塞)などのリスクが高くなります。
高血圧の人が運動を行う際の注意点は、以下の5つです。
- 無酸素運動は避ける
- 運動前後のストレッチ
- こまめな水分補給
- 運動前後の血圧測定
- 体調が悪くなったら、すぐに中止する
軽い運動は高血圧の改善に効果的ではありますが、運動を行う際には上記の注意点を意識して下さいね。
そして、高血圧からの脱却を目指しましょう!
高血圧の改善に効果的なウォーキングについて、こちらの記事で詳しく解説していますので一度ご覧ください!