高血圧を放置しておくと、三大成人病である脳卒中や心疾患のリスクが、3倍以上も高くなります!
そんな高血圧の改善には運動が重要なのですが、果たして水泳は高血圧に良いのでしょうか?
今回は、運動の中でも水泳が高血圧にどう影響するのかを分かりやすく解説していきます!
水泳ってどんな運動なの?
目次
運動不足と高血圧
まず始めに、運動しないでいるとなんで高血圧になるのかって所を解説します。
他の記事で何度も書いているので、読んだことあるって人は、飛ばしちゃって下さい!
てか、もしそんな人いたら、僕の記事を読んでくれて感謝です(笑)!
では、改めましていきましょう!
高血圧の分類
高血圧は、原因によって2種類に分けられます。
1つは「二次性高血圧」
これは、腎臓疾患やホルモン異常など、病気が原因で起きる高血圧で、病院に行けば診断がつきます。
もう1つは「本態性高血圧」
二次性高血圧に分類されない高血圧は、本態性高血圧になります。
つまり、原因がはっきりしていないって事。
ただ、診断こそつきませんが、過食や肥満、運動不足、喫煙、ストレスなどの生活習慣が影響してると言われています。
その為、生活習慣を見直す事で改善できる可能性が高いんです!
運動と高血圧
過食や肥満、喫煙は、なんとなく高血圧になりそうなイメージはあるんだけど、運動不足で何で高血圧になるのか?
その原因は3つあります!
- 肺活量の低下
- 血管が硬くなる
- 肥満
「肺活量」は、酸素を一度に吸って吐ける最大量のことです。つまり、肺活量の低下は酸素の取り込みが衰える状態です。
風船を中々膨らませる事ができない人は要注意ですよ!!
肺活量が低下すると、体の中の酸素が不足してしまいます。
すると、心臓は少しでも全身に酸素を届けようと心拍数を上げて血流を速くします。
これにより、血管への圧力が増して高血圧になります。
また、運動不足になれば筋肉は使いませんよね?
使わない筋肉は、硬くなります。
それは、血管の周りに着いている筋肉(平滑筋)も同じです。
更に、運動不足と過食によってやってくる肥満。
特に内臓周りに着く内臓脂肪は、増えすぎると「アディポサイトカイン」という物質の分泌異常を起こして、高血圧を引き起こします!
運動不足になると、これらの要素によって高血圧への階段を駆け上がってしまう事になります!
まぁ大体、ぽっちゃり・食べ過ぎ・運動不足ってセットになってますよね(笑)?
高血圧には有酸素運動が効果的
ここまで高血圧の原因に触れましたが、その改善を考えた場合、原因に対してアプローチを行えば良いわけですね(^-^)
で、アプローチとしては運動をする事が必要なのですが、運動は運動でも有酸素運動が効果的です!
何故なら!
有酸素運動は、肺活量の強化と血液循環の改善に伴う血管の柔軟性向上、ダイエット効果があるからです!
その有酸素運動の中で、水泳が高血圧に与える影響について、これから解説していきます。
水の特性
水泳について振れる前に、水中で運動を行う場合、体にどんな影響が及ぶのかをお伝えします!
浮力で関節への負担軽減
水中では浮力が働いているため、関節への負担が少なくなります。
なので、ぽっちゃりしてる人や腰痛持ちの人、ウォーキングなどの運動で関節痛めたって人も安心です。
浮力とは
「水中に浸っている部分と同じ体積に相当する水の重さ分だけ重力と反対方向に働く力」
を指します。
要は水中に浸っている身体の体積分、軽くなるって事です。
ちなみに、脂肪は水よりも軽い為、ぽっちゃりした人は水に浮きやすいんですね(^^)
水圧で血流アップ
水圧とは、文字通り水による圧力を指します。
水圧は水深が深くなるにつれて高くなる為、水中で立っている時には下半身に高い水圧がかかります。
これにより、下半身の静脈(心臓に戻る血管)が圧迫されて血液循環が良くなります!
そうなると、心臓から一回に送り出される血液量(一回拍出量)が多くなる為、心拍数が減少します。つまり、心臓への負担が少なくなるって事です!
更に、水圧によって横隔膜という呼吸筋が圧迫を受ける事により、負荷刺激となり、心肺機能の強化が見込めます!
水の抵抗で運動の負荷量を調整
水中では、身体を動かした時のスピードに比例して水の抵抗がかかります!
その負荷量は2乗倍。
例えば、2で4倍、3で9倍の負荷がかかることになります。
つまり、速く動けばその分負荷量が増すってことです!
水の中を速く進もうとすると、進みにくくなりますよね?
低水温で脂肪燃焼効果アップ!
人間の体温より低い水温であるプールは
- 体の熱が放散しやすい
- 身体周囲の水温がほぼ一定
などの特性があり、これが体温調節機能の向上に関わってきます。
例えば、水中に入ると体熱が奪われますが、この時に僕たちの体は体内に蓄積されているエネルギーを消費して、体温調節を図ろうとします。
このとき脂肪の燃焼効率が高まるんです!
高血圧と水泳
ここまで、水の特性について触れてきました。
では、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高める高血圧に対しては、水中はどんな影響を与えるのか!?
水泳と高血圧について解説する前に、その大枠に触れていきたいと思います。
水中での運動は、血圧を下げる?
水中では、水圧が働く関係で静脈の血流が促進されて血流が良くなる為、心臓はマイペースに働くことが出来て心拍数が下がると解説しました。
ん??
血流が良くなるって事は、血管の中を通る血液の勢いが増すから、血圧はむしろ高くなるんじゃないの?
って思いますよね?
だけど血圧は下がるんです!
??
一見、矛盾しているようで混乱してくるので、説明しますね。
先述したように、水圧の関係で血流が促進されるので、一旦は血圧は上昇する方向に働きます。
大事なのはこの後!
血管には、血圧を調整する為の圧受容器というものが存在しています!
この圧受容器がセンサーとなり、血圧が下がり過ぎたら上がるように働き、また、上がり過ぎれば下がるように脳の血圧の調節中枢に働きかけます。
つまり、水中で運動を行って血圧が上がる方向に働くと、圧受容器がこれを感知して血管を拡げ、降圧の方向に働いて血圧の値を一定に保とうとします。
結果、高血圧の改善に働くというわけです!
他にも、水の中に入る事で、血圧上昇に係わるホルモンの分泌を抑える作用があります。
水泳は高血圧を悪化させる!?
ここまでの流れでは、水中での運動が血圧を下げる効果があると解説してきたので、水泳は高血圧に効果的じゃん!
と思いますよね?
実は、水泳は身体の状態によってはリスクを伴うかもしれないんです!
「早稲田大学 大学院スポーツ科学研究科 スポーツ科学専攻 身体運動科学研究領域の峯田 真悠子先生」の論文の中の研究結果で、こんな記載があります。
研究内容は
「若年者と高齢者に水中で3分間立ってもらった際の血圧の変化を調べる」
というもの。
その結果、高齢者の血圧上昇が優位になったそうです。
- 浸水に伴う心拍の低下には 、年齢 、 心肺体力 、動脈圧受容器感受性が総合的に関係する。
- 浸水に伴う血圧の上昇に年齢、安静時の平均血圧、動脈のスティフネス(硬さ)が独立して関係していることを明らかにした。
- この結果は、加齢だけではなく、安静時血圧や動脈スティフネスなどの個人の心血管特性および心肺体力といった身体特性が浸水に伴う心拍数および血圧の応答に影響を与えることを示唆する
つまり、加齢や高血圧によって、圧受容器の反応が弱くなっていたり、動脈硬化などで血管が硬くなると、降圧の働きが悪くなり、水中での運動では血圧が上がってしまうって事です!
水泳はランニングと同じ運動負荷量!
厚生労働省では、運動負荷量の指標が定められています。
その指標に使われているのが、METs(メッツ)とEX(エクササイズ)です。
METs(メッツ):運動を行った時の消費カロリーが、安静時の何倍かを表した数値。
EX(エクササイズ):METs(メッツ)に運動した時間(時単位)をかけた数値。例)通常歩行3METs(メッツ)×20分(1/3時間)=1EX(エクササイズ)
ちなみに厚生労働省では、1週間に23EX(エクササイズ)の運動が、健康を維持する為に適当と定めています。
大体、一日20~30分の運動を毎日続けるくらいの運動量ですかね。
下の図を見て下さい。
「もてなし隊!デイリーサポート そら」より引用
なんと、水泳はランニングと同じ運動強度(消費カロリー)となっています!
もちろん、クロールや平泳ぎなど泳ぎの型によっても運動の負荷量は変わってきますが、水泳そのものの負荷が強いことを示しています。
実際、水泳をしている時に脳卒中を発症している人もいるようですから。
水中で立ってるだけで血圧が変動するんだから、高血圧の人がいきなり水泳のような比較的ハードな運動をするのは、リスクがあるかもしれませんね。
運動が高血圧の改善に重要な理由はこちらを参照してください!
高血圧には水中ウォーキングがオススメ!
ですが、水泳が必ずしも高血圧を悪化させる訳ではありません。
普段、運動をしていないのに、いきなり水泳のような負荷量の高い運動を行うと、心臓や血管への負担が強まってしまう為に危険なんです!
特に、高齢者や慢性的な高血圧の人は、圧受容器の感受性低下や動脈硬化により、水中では血圧が上昇しやすい傾向にあります!
何事にも順序というものがありますからね。
そこでオススメしたいのが、「水中ウォーキング」です!
つまり、水の中を歩くって事なんですが、ただ歩けば良いというものでもありません。
ポイントは
- 頭を上げて、前を見て歩く
- 態勢は、少し前かがみで胸を運ぶ
- 踵から接地する
- ゆっくりのペースで、なるべくふらつかないようにする
こんな所ですかね。
頭を上げれば、自然と背筋は伸びてきますし、水中では水の抵抗により、身体は後方に押されちゃいますから、胸の位置を前に持っていく事を意識するとバランスを取りやすいです。
また、水中ウォークは水泳と同様に有酸素運動ですから、そのエネルギー源は脂肪です。
なので、安定性を意識して行う事で、姿勢保持の筋肉が働きやすくなり、脂肪燃焼効果や血液循環が促進されます!
んで、慣れてきたら
- スピードを上げてみる
- 歩幅を拡げてみる
- 膝を高く上げてみる
- 横歩き
など、バリエーションを増やしていくと良いと思います!
ですが、姿勢はとっても重要ですから、あくまでバランスを崩さない範囲で行う事を意識してください!
アクアビクス
「ちゃやまちフィットネスクラブ」より引用
水中での運動と言えば、水泳や先述した水中ウォークがありますが、最近では「アクアビクス」なるものが流行しているそうです!
水の特性による筋力アップや血液循環の促進などの効果の他、エアロビの動きによる有酸素運動効果もある為、高血圧改善の他、肥満解消やストレス発散にも良さそうですね!
それに、同じ目的をもった人たちと一緒にやることで、継続しやすいんじゃないでしょうか?
仲間がいると、また次行こうって思いません?
てか、写真を見る限り、結構楽しそう(笑)
アクアビクスが、高血圧改善に効果を示す研究結果も出ています。
サンパウロ大学が行った研究では、32人の治療抵抗性高血圧患者(薬の効果が低い)が参加した。
参加者は、全員が治療抵抗性高血圧と診断され、最高血圧(収縮期血圧)は140mmHg、最低血圧(拡張期血圧)は90mmHgよりも高かった。
参加者を2つのグループに分け、片方にはエアロバイクなどの通常の運動に取り組んでもらい、もう片方には水中エアロビクスに取り組んでもらった。1回1時間の運動を、週に3回行った。
実験は12週間にわたり行われ、参加者は期間中、降圧薬の服用を続けた。
その結果、水中エアロビクスに取り組んだ高血圧患者は、平均して血圧が36mmHg/12mmHg下がっており、ほとんどが正常域に到達していた。通常の運動を行ったグループでは、改善はみられなかった。
アクアビクス侮れず!!
まとめ
いかがでしたか?
水の中では
- 浮力により関節負担軽減
- 水圧により下半身の血流アップ
- 低水温により体温調節機能アップ
- 水の抵抗により、筋力アップ(負荷量も自由に調節可能)
などの効果があります。
また、血流促進に伴い一時的には血圧は上昇の方向に働きます。
ですが、血管に存在する圧受容器という血圧調節に働くセンサーが反応する事で、降圧作用が働き、結果的に降圧する効果があります!
その為、高血圧のある人が運動を行うには良い環境であると言えます。
ですが、水泳はランニングと同じくらいの負荷量である為、高血圧の人が最初に行う運動としてはリスクがあります。
その理由は、血圧を調整する圧受容器や動脈硬化により調整機構が働きにくくなっているからです!
そこでオススメなのが、水中ウォークです。
水中では、水泳のようなダイナミックな運動でなくとも水の特性により、しっかりとした運動が行えます。
また、ストレス発散効果もあるので、高血圧に悩んでいる人は試してみてはいかがでしょうか?
「水泳」とかけて
「夏に飲むビール」と説く
その心は、どちらも「金、金(キンキン)」がサイコーです!
みやっちでした!!
こちらの記事もご覧ください。